元ノアの鉄人・小橋建太(49)のプロデュース興行「Fortune Dream 3」が14日、東京・後楽園ホールで行われ、メーンでは現在のマット界を代表する4選手が“夢の競演”を果たした。辣腕を振るった小橋は、最大のライバルで先輩だった故三沢光晴さん(享年46)に大会をささげる決意で、この日を迎えたという。

 この日は三沢さんの命日(13日)の翌日。大会開催に当たって小橋が後楽園の空き状況を確認した際、たまたま「6月14日」が空いていたという。偶然とは思えず「ここで試合をやれと三沢さんに言われているのかな」(小橋)と導かれるように、会場を押さえたと明かす。

 カード編成の際は、現役時代の自分の激闘を振り返ってみた。すると東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞で年間ベストバウトを3度も受賞した三沢さんとの試合が鮮明によみがえってきた。1997年10月21日の全日本プロレス日本武道館大会と翌年10月31日の武道館大会における3冠ヘビー級戦2試合、そしてノアのGHCヘビー級王座をかけて戦った2003年3月1日の武道館大会だ。

「三沢さんとあそこまでやり合えたのは、お互いに覚悟を持っていたから。その覚悟をみんなに伝えたい。『エースとは何か』『チャンピオンとは何か』というものを、俺は三沢さんとの戦いを通して教えられた。今の選手、これからの選手に伝えていきたい」

 その思いから組まれたのが、この日のメーンだった。ノアのGHCヘビー級王者・潮﨑豪(34)が、大日本プロレスのBJW認定世界ストロングヘビー級王者・岡林裕二(33)と王者タッグを結成。全日プロ「チャンピオン・カーニバル」覇者の関本大介(35=大日本)、W―1チャンピオンシップ前王者の火野裕士(31)組と激突した。ある意味、現在の“四天王プロレス”とも呼べる豪華カードだ。

 試合内容は期待以上となった。4人の放ったチョップは合計250発を超えた。しかも30分では決着がつかず、延長戦の末に岡林が関本を撃破。4人の激闘をたたえるように、エンディングでは三沢さんの入場テーマ曲「スパルタンX」が流れた。

 次回大会は未定ながら小橋は「三沢さんとの熱い戦いを後世に残していきたい。それが引退した俺にできること」と改めて誓った。三沢さん、そして鉄人の熱い思いは永遠に引き継がれていく。