GHCタッグ王者の矢野通(38=新日本プロレス)が、珍しくヤル気をみなぎらせた。

 丸藤正道(36)とのコンビで初防衛戦(12日、東京・後楽園ホール)に臨む矢野は11日、東京・有明のノア事務所で行われた調印式に出席。挑戦者のKES(ランス・アーチャー、デイビーボーイ・スミスJr.組)を前にして「隣はちょっと…」と離れた位置に座るあたりはいつも通りだったが、変化が見られたのはその後だった。

 調印書にサインだけ済ませ、ノーコメントのまま会見場を後にしたKESを見届けると「2~3日前までは怖くて逃げ出そうと思っていたんですけど、ある定例会見を見て『この人ほどは窮地じゃないな』と勇気が湧いてきました」と口にしたのだ。

 言うまでもなく、政治資金の私的流用疑惑問題に揺れる舛添要一東京都知事(67)のことだろう。疑問や憤りを感じるならまだしも、追及を受ける舛添氏の姿にパワーをもらったというのは矢野くらいしか聞いたことがない。

 しかも「別荘、いやっ、じゃなくて、ベルトを手放さないように頑張ります」とタイムリーなネタを交えながら意気込みを語った。

 普段は「怖い」と弱気発言を連発する男が、ここまで前向きな発言をするのは異例のこと。パートナーの丸藤は目を丸くしながらも「まだまだ俺と矢野さんの物語は始まったばかり。ここで手放すわけにはいかない。必ず防衛して、俺らでアイツらは終わらせましょう」と呼応。2人で長期防衛を見据えた。