新日本プロレス「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」優勝決定戦(7日、宮城・仙台サンプラザホール)は、初出場のウィル・オスプレイ(23)が田口隆祐(37)を破り、史上最年少優勝を果たした。あまりに革新的なスタイルは、海外の大物レスラーから批判されるなど世界中で賛否両論を巻き起こした。新日ジュニアの歴史に新たな一ページを刻んだ、最先端ハイフライヤーのこだわりと今後の野望とは――。

 初出場の新星は、左足に集中砲火を浴びながらもサスケスペシャル式トルニージョを発射して観衆を魅了。最後はリバースファイヤーバードスプラッシュからのオスカッターで激闘に終止符を打った。出場全16選手の頂点に立ち、英国人選手として初、そして史上最年少のスーパージュニア覇者に輝いた。

 卓越した身体能力を生かして高難易度の空中殺法を駆使する。リコシェ(27)との公式戦(5・27後楽園)は壮絶な空中戦となり、これを見たビッグバン・ベイダーが海外から「これはダンスか体操の動き」とそのスタイルを批判。世界中のプロレスファンからも賛否両論が巻き起こり、一躍注目の存在となった。

 だがリスクを顧みず最先端の技術でファンに驚きを与え続けるオスプレイにも、譲れないプライドがある。「いろいろ言われるのは仕方ない。でもこれが俺のスタイルなんだ。彼(ベイダー)はヘビー級だからスタイルが違って当たり前。音楽もクラシックだけが音楽じゃないだろ? 俺が敬愛するビートルズだって最初は賛否両論だった。いつか皆に認めてもらえるように頑張るよ」と英国人らしい決意で、今後も信念を貫くつもりだ。

 昨年10月に英国マットで対戦したオカダ・カズチカ(28)にその才能を見いだされ、今年4月から新日プロと2年契約を結んだ。19日の大阪城ホール大会ではIWGPジュニアヘビー級王者KUSHIDA(33)への挑戦が確定。「俺の夢は東京ドームのメーンイベントでIWGPジュニアのタイトルマッチをすること」と豪語するオスプレイが、ジュニア新時代の旗手となる。