前代未聞の大逆転Vを決めた――。ノア「グローバルタッグリーグ戦2016」優勝決定戦が4日、東京・後楽園ホールで行われ丸藤正道、矢野通組がデイビーボーイ・スミスJr.、ランス・アーチャー組(KES)を撃破して初優勝。公式戦では開幕3連敗からの4連勝という史上まれに見る逆転劇で鈴木軍にストップをかけた。丸藤組には東京スポーツ新聞社から大トロフィーが贈られ、GHCタッグ王座次期挑戦権も手中にした。

 まさかまさかの逆転Vだった。予想通りKESのパワー殺法に防戦一方の丸藤組は15分過ぎからようやく反撃。丸藤がスミスJr.に虎王3連打から一気に不知火を決めて3カウント。GHCタッグ王者から完璧な勝利を奪い、化学反応的越境コンビが、リーグ戦の歴史にその名を刻み込んだ。

 鈴木軍の蛮行を阻止するため、新日プロから盗っ人・矢野を呼び寄せてリーグ戦に臨んだ丸藤だったが、開幕戦(4・21後楽園)でKESに敗れると、波に乗れないままズルズルと3連敗。呼吸が合わないうちに早々と自力Vが消滅しかけていた。

 それでも4・25大阪大会でようやく潮﨑豪、マイバッハ谷口組から初白星を挙げると一気に流れが変わる。前日3日の後楽園大会では鈴木みのる、飯塚高史組から値千金の勝利を奪い、4連勝の勝ち点8で日程を終了。潮﨑組と2位タイに並んだが、公式戦で直接対決を制している丸藤組が辛うじて決勝戦のリングに進んだ。

 勝ち点10で単独首位のまま最後まで突っ走ったGHCタッグ王者組に開幕戦の借りを返し堂々の優勝。これで28日のエディオンアリーナ大阪弟1競技場大会での挑戦がほぼ確実となった。

 同大会では潮﨑が杉浦のGHCヘビー級王座に挑戦。鈴木軍から一気にベルトを奪い返すチャンスとなり、今年前半最大のヤマ場となる。

 もちろんこれだけで満足などできない。昨年12月には9か月ぶりにGHC王座をみのるから取り戻したものの、今年1月には一度も防衛を果たすことなく杉浦にベルトを渡した。王座奪還はほんの気休めにもならず、いまだに主要王座は鈴木軍に制圧されたまま。

 丸藤にはタッグからヘビーまでを制して完全復活を証明し、どん底まで落ちたノアを再生させる責任がある。

「ノアじゃない選手がいっぱいリングに上がっている今、ベルトを取り返すのは俺しかない」。大逆転Vは丸藤復活への序章にしかすぎない。