ノアの「グローバルタッグリーグ戦2016」が21日、東京・後楽園ホールで開幕し、潮崎豪(34)、マイバッハ谷口(39)組が白星発進した。潮崎は熊本地震により甚大な被害を受けた熊本市出身。5月28日のエディオンアリーナ大阪大会でGHCヘビー級王座奪取を誓うとともに、プロレス界あげてのチャリティー大会開催を提唱した。そのメーンのリングに立ち、被災地を希望の光で照らす決意だ。

 公式戦初戦で潮崎組は、杉浦貴(45)、シェルトン・X・ベンジャミン(40)組と対戦。5・28決戦でGHC王者・杉浦への挑戦が決まっている潮崎にとって、絶好の前哨戦になった。「頑張るバイ 熊本!!」の文字と、くまモンのイラスト、ファンからのメッセージが入ったTシャツを着て入場すると、いつも以上に気合が入った。

 王者のイス攻撃、重いエルボーをはね返し、胸を切り裂くチョップで反撃。最後はベンジャミンにゴーフラッシャーを決めて自軍の勝利をアシストし「明るいニュースを地元に届けます!」とマイクで誓った。

 熊本地震により、不安な日々を過ごしてきた。市内にある実家は無事だったが、兄の自宅と義姉の実家が半壊した。小学校時代に遠足で訪れた熊本城が被害を受け、東海大付属第二高(現東海大付属熊本星翔高)時代にバスケ部で合宿を行った東海大の阿蘇キャンパスでは、キャンパスに通う学生が亡くなった。

「信じられなかった。現実としてとらえられませんでした」。実家に連絡を入れた時、父の信次さんからは「こっちは大丈夫だから、あまり考え過ぎるな」と諭された。「父なりに、俺に頑張ってほしいということだと思う。自分にできることをやるしかない。ベルトを持つことで明るくしたい」とGHC奪取は責務と感じている。

 故郷のために望むことがある。2011年に起きた東日本大震災のチャリティー大会として新日本プロレス、全日本プロレス、ノアの3団体が開催した「ALL TOGETHER」の復活だ。あの時、2大会でメーンを務め、プロレスが持つ底力を感じた。

「あの時のパワーは被災地に届いたと思う。できることならもう一度、開催できればいいと思うし、俺がもう一度メーンのリングに立たないと意味がない」。故郷への思いを胸に、潮崎は前進し続ける。