満点発進だ。元新日本プロレスの中邑真輔(36)が「シンスケ・ナカムラ」として1日(日本時間2日)のNXT「テイクオーバー」(テキサス州ダラス)で鮮烈なWWEデビューを飾った。日本時代と変わらぬファイトで世界を魅了した姿を、古巣・新日プロの戦友たちはどう見たのか。終生のライバル・棚橋弘至(39)と、後輩のIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(28)が本紙に胸中を明かした。

「ナカムラ」はWWEのリングでも「中邑」のままだった。入場曲こそ新調したが、日本時代も着用した赤のロングタイツ姿で登場。破格の待遇とも言える本名でのデビューという期待に応えるかのように「キング・オブ・ストロングスタイル」のファイトで現地のファンを魅了した。

 NXT初勝利を奪ったフィニッシュホールドのボマイェは「キンシャサ」に改名された。これは技の名の由来「アリ、ボマイェ(やっちまえ)」の言葉が生まれたボクシングの名勝負「キンシャサの奇跡」(ジョージ・フォアマンVSモハメド・アリ)から派生したネーミングとみられる。

 1月末で新日プロを退団し、WWEに移籍。デビュー戦には、日本からも熱い視線が送られた。10年以上にわたりともに新日プロをけん引した棚橋は「見ましたよ。(日本時代と変わらぬ姿は)貫き通す強さ、じゃないですか? 立派でしたね。誇りに思います」と心境を明かした。世界最大団体での自己表現を目指したナカムラに対し、棚橋にはエースとして新日プロを世界一の団体にする使命がある。違う道を選んだ以上、多くは語らなかったが、「終生のライバル」と呼ばれた男の活躍は今後も棚橋にとって何よりの「誇り」となっていくに違いない。

 もう一人、新日プロの未来を託されたCHAOSの後輩・オカダは試合前にナカムラと連絡を取り合っていた。「問題ないと思いますけど、頑張ってくださいね」。新日プロのトップならば、WWEでもトップになれるという確信があるからこそのエールだった。オカダは「なってもらわなきゃ困りますしね。AJ(スタイルズ)、(プリンス)デヴィット(現フィン・ベイラー)もそうだし。どんどん活躍してもらいたいとは思います」と言い切った。

 ナカムラの活躍はオカダにも最高の発奮材料になった。「いい意味で全く変わってないなと。もう、WWEは見なくていいかな。ここ何か月か、僕も“中邑ロス”の一人だったのかもしれない。向こうは始まったんだな。なら、こっちもつくっていく。『ナカムラコール』を聞いてて、僕もああいう空間を新日本でつくり上げたいと思いました」。10日の両国国技館大会で控えるNJC覇者・内藤哲也(33)とのV4戦に向け新たなモチベーションが生まれた。

 ナカムラの満点発進は棚橋、オカダに間違いなく大きな刺激を与えた。