そして誰もいなくなった――。超花火プロレス「ライオン超花火」(11日、埼玉・所沢市民体育館サブアリーナ)で、邪道・大仁田厚(58)がまさかの敗北を喫した。対戦を要求していた「はぐれIGF軍団」にもスカされ、すっかり求心力を失った邪道のもとからは離反者が続出。「はぐれIGF軍団」、そして「UWF軍」との全面対抗戦を目前に控えながら孤立無援に陥った。

「有刺鉄線電流爆破バット&ライオン発破タワーデスマッチ」として行われた一戦で、大仁田は怨敵・TARU(51)と初タッグを結成。中身が「はぐれIGF軍団」(藤田和之、ケンドー・カシン、鈴木秀樹、将軍岡本)のはずの白覆面A、白覆面B組と激突した。

 ところが最初から様子がおかしかった。リングインすると、本部席に鈴木と将軍岡本が陣取っていたのだ。すかさず大仁田は「お前ら、はぐれIGFだろ!? リングに上がってこい!」と呼び掛け、ニラみ合う。その時だ。4人の白覆面に背後から襲われ、電流爆破バットのエジキになった。

 それでも2人同時の毒霧攻撃で盛り返し、大仁田がフォールの体勢に。すると、今度はTARUに裏切られ、1対5のハンディ戦を強いられた。おまけに、白覆面の正体はIGFとはまるで関わりのない菅原拓也、KAMIKAZE、ブッファ、将火怒の4人だった。そのままなすすべなく、爆薬がセットされた「ライオン発破タワー」に監禁され、TARUの手により大爆発。無念の3カウントを許した。

「プロレス界一のアホやな。IGFなんて来るわけねえやろ、ボケ!」(TARU)

 一方、控室から出てきた大仁田は憔悴し切った表情で「みんなの心が離れてしまったな…」と自虐的に話した。邪道流のやり方で、はぐれIGF軍団、そしてUWF軍との抗争が勃発。ところがはぐれIGF軍団にもてあそばれたうえに、試合で醜態をさらした。こうしたことが重なって、邪道ファミリーにも離反の気配が…。

 実際に試合後もボコボコにされる大仁田を、田中将斗(43)は救出に現れなかった。カリスマタッグを結成していた長与千種(51)とは爆破王タッグ王座の処遇をめぐりギクシャクしている。

「昔もこんなことがあったな…」。1998年には旧FMWで孤立し、団体を追われている。いよいよ軍団抗争が始まろうとする今、孤立無援の邪道はどこに向かうのか。