新日本プロレスを1月末で退団した中邑真輔(35)が22日、世界最大団体の米国・WWEと正式契約を結んだと発表した。4月1日のNXT「テイクオーバー」(テキサス州ダラス)でデビューする中邑は、本紙の直撃に応じ、WWEでの新たな“野望”を明かした。

 この日の会見にスーツ姿で登場した中邑は「これまで培ってきた中邑真輔をより世界でパフォーマンスできればと思っています。ワクワクしています」とあいさつした。

 先月限りで新日プロを退団し、今月2日に渡米。現地でビンス・マクマホン会長(70)や副社長のトリプルH(46)から歓迎を受け契約を結んだ。“悪の権力者”トリプルHからは「好きなようにやってくれ」と言葉を受け、早くも信頼を寄せられているようだ。

 育成ブランド「NXT」からWWEでのキャリアをスタートさせる中邑は、4月1日の「テイクオーバー」でサミ・ゼイン(31)とのデビュー戦を行うことも正式に発表された。リングネームは本名の「シンスケ・ナカムラ」に決まったとの一部報道もあったが「希望は伝えてありますけど、まだよく分からないんです」と否定し、現時点では未定だという。

 一方、ショックを受けた出来事もあった。かつてのルームメートであり対戦を熱望していた盟友ダニエル・ブライアン(34)が、中邑のWWE入り直前に引退。目的の一つであったドリームマッチが消滅した。

 だが、世界最大のリングには無限の夢が広がっている。中邑は、早くも新たな野望を明かす。「(対戦が)面白いと思うのは、ブレイ・ワイアットだったり、ブロック・レスナーだったり。もちろんそれも、これから自分が見る景色によって変わってくるでしょうけど」と目を輝かせた。

「怪奇一家の教祖」として抜群の悪党人気と存在感を誇るブレイ・ワイアット(28)は、中邑の大ファンとしても知られる。「あいつは俺の所作をパクりまくっている」(中邑)。日本公演で来日した際には関係者を通じて「会いたい」という連絡があったが、中邑が外出をおっくうがって対面が実現しなかった…。世界を舞台に日米カリスマ対決が実現するか注目だ。もちろん、それまでにワイアットから“洗脳”される危険性も捨てきれないが…。

 WWEとUFC、さらには新日プロでも頂点を極めたレスナーとは、2006年1月4日東京ドーム大会のIWGPヘビー級王座戦で敗れた因縁もある。「トレーニングセンター(フロリダ州オーランドにあるWWEの最先端トレーニング施設「パフォーマンスセンター」)に行ったら、ちょうどその試合の映像を見ている人もいましたよ。やめてって感じでしたけど(笑い)」。WWEのリングで再戦する日が訪れれば、日本のファンにとっても壮大なドラマとなりそうだ。

 中邑は「WWEのスタイルもおぼろげながら見えている部分もあるし、すぐにフィックス(調整)できると思う。WWEの選手でも僕のファンがいるとなってますけど(実力を)証明していかないと伝わらないんじゃないですか」と自信をみなぎらせた。日本が誇る「キング・オブ・ストロングスタイル」が、世界のプロレスシーンを動かしにいく。