新日本プロレスの後藤洋央紀(36)が、まさかの引退危機に陥った。

「危機感しかないですよ。このまま消えていくしかないのか。そういう運命なのか、と。今の自分にはリングに上がってはいけない、上がる資格すらない気さえする」

 後藤は11日の大阪大会でIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(28)のレインメーカー3連発に沈んだ。初挑戦からIWGP戦8連敗は同王座のワースト記録。不退転の覚悟で臨んだ一戦だったが、その思いは無残に打ち砕かれた。

 それだけに敗戦のショックは計り知れない。現実的には自身が最多優勝記録(3回)を誇る“得意舞台”の次期シリーズ「NEW JAPAN CUP」(3月3日、東京・大田区総合体育館大会で開幕)を制すれば、再び王座戦線浮上の権利が与えられる。後藤の強さを評価したオカダからはユニット「CHAOS」に勧誘されており、再生プランも示されている。

 だが、後藤は「そんなことを考える気力も…。今は何も考えられない。やる気も出ない。モチベーションも上がらない」とつぶやくのがやっと。IWGP戦前にオカダから「何も考えていない」とやゆされた後藤が、ラブコールを受けたタイミングで本当に何も考えられなくなるとは皮肉と言うほかない。

「リングに上がるのが怖くなった時が引退の時」と公言してきただけに、このままでは最悪の決断を下す可能性も否定できない。新日プロでは同期の中邑真輔(35)が1月末で退団し、外国人選手の米WWE移籍も相次いでいる。後藤にはトップ戦線への定着が期待されるが…。

 IWGP戦敗北後はリング上でも精彩を欠く。荒武者は一体どこへ行ってしまうのか――。