新日本プロレス14日の新潟・アオーレ長岡大会で行われたIWGPインターコンチネンタル王座決定戦で、棚橋弘至(39)がケニー・オメガ(32)にまさかの敗戦。1月末で退団した終生のライバル・中邑真輔(35)から託された思いを果たせなかった。1月4日東京ドーム大会ではIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(28)との頂上決戦に敗れており、痛恨の連敗で厳しい立場に追い込まれた。

 中邑の新日プロ退団・王座返上を受けて行われたIC王座決定戦。1月30日後楽園大会の中邑ラストマッチ後に出場を表明した棚橋は、終生のライバルから送られた「後は任せたぜ」というエールに応えるべく、長岡決戦のリングに立った。

 しかし待っていたのは残酷な結末だ。バレットクラブのセコンド介入にも屈せず、ケニーの必殺・片翼の天使(変型ドライバー)をリバースフランケンシュタイナーで切り返した棚橋は、ツイストアンドシャウトからスリングブレイドを発射し攻勢に出る。だが、ハイフライフローを間一髪でかわされると、後頭部への一撃を含むVトリガー(ランニングニー)3連発をくらって失速。最後はついに片翼の天使を浴びて、29分超の大乱戦の末にリングに沈んだ。

 試合後の棚橋はバックステージで倒れ込むと「ごめんなぁ、中邑…」とだけ言い残し、控室へ運ばれた。ここ10年の新日プロをともに支え続けたライバルを安心させ、WWEへと送り出したかった。「俺がいるから新日本は大丈夫」との宣言をIC王者となることで果たすつもりだったが…その思いがかなわなかったショックは大きい。

 棚橋個人としても痛恨の敗戦となった。1・4東京ドームでのオカダとの頂上決戦に続く、レスラー人生の大一番での敗北。会場を出る際に本紙の取材に応じた棚橋は「キャリアの中でこんなに大きな負けが続いたのは初めて。肉体的なものなのか、技術的なものなのか、精神的なものなのか。原因が分からない」と沈痛な表情を浮かべた。

 次期シリーズ「NEW JAPAN CUP」(3月3日、東京・大田区総合体育館で開幕)で優勝すればもう一度、王座戦線に浮上するチャンスがあるが、この状態で早急に頭を切り替えるのは容易ではない。

「今、一番しっかりしないといけないのに。ピンチを救うのが、エースでしょ。エース失格と言われても仕方ない」と、まさに窮地を迎えた。

 2大エース時代を築いた中邑という「一対」の存在が去った新日プロのリングに、太陽はもう昇らないのか――。