ノアのGHCヘビー級王者・丸藤正道(36)が28日、伝説の一戦を再現させると断言した。初防衛戦(31日、横浜文化体育館)で迎え撃つ杉浦貴(45)の裏切りには怒り心頭で、王座戦での公開処刑を決意。思い描くのは15年3か月前、ノア史上に残る「制裁マッチ」を敢行した鉄人・小橋建太(48)の姿だ。

 決戦を3日後に控えた天才児は怒りに満ちていた。「試合をすると感情的になってしまう。俺もベビーフェースじゃない戦い方になると思うけど、一レスラーとして負けられない部分がそういう感情を引き出すんだと思う」。ノアを裏切って鈴木軍入りした杉浦はシリーズを通して極悪ファイトを展開。崇高なるGHC戦に特製パイプイスの投入も示唆している。

 当初は改心させようという気持ちもあった。だが今は違う。盟友への思いを断ち切る覚悟を決めた。「今までの杉浦戦とは明らかに違う試合になる。そういう状況を求めてアイツが向こうに行ったのかなとも思うし」と口にすると、ひと呼吸置いてこう続けた。「小橋さんが大森さんを制裁した試合が俺の中に残っている。あの絶対的なベビーフェースだった小橋建太が鬼のようになった試合だ」

 2000年10月11日の愛知県体育館大会。鬼神と化した小橋は凶器攻撃やグーパンチで大森を大流血に追い込むと、失神状態の相手を無理やり起こしてえげつないラリアートを叩き込んでKOした。当時、パートナーだった大森に裏切られた末の「制裁」で、状況は酷似している。この試合で大森は頭部に5針縫う裂傷を負った。セコンドに就いて震え上がった丸藤は、歴史に残る制裁マッチをよみがえらせるというのだ。

 この日の栃木大会では8人タッグ戦で前哨対決すると、鋭いチョップで杉浦の胸板を切り裂き流血させた。最後はタイチを不知火で沈めた丸藤は「アイツの真意が何だったのか。杉浦を倒して初めて(王者として)スタートできる」。横浜決戦に危険な香りが漂ってきた。