女子プロレス「シードリング」が開催した11日の東京・後楽園ホール大会に、昨年5月に現役を引退した世Ⅳ虎(よしこ=22)が電撃登場した。

 同大会のメーンで行われた高橋奈七永(ななえ=37)対田中将斗(42)の最中だった。田中に一方的にやられる高橋のもとに突如、客席から1人の女性がリングサイドに駆け寄った。黒い私服姿の世Ⅳ虎だ。気がついたファンが騒ぎだし、たちまち会場はどよめきに包まれた。公の場に姿を現すのは、昨年6月14日の引退セレモニー(後楽園)以来、7か月ぶりとなる。

 マットを叩いて高橋にゲキを飛ばすと、そのままセコンドに就いた。試合後は敗れた高橋と抱擁し一緒に退場。そのまま高橋に付き添い医務室に入った。バックステージではマスコミをシャットアウトして会話をかわした模様だが、結局、ノーコメントのまま会場を後にした。

 一方の高橋も脳振とうの影響でコメントできなかった。代わりにシードリングの南月たいよう専務(31)が対応し「(世Ⅳ虎のことは)全く知らなかった…。これから本人と話してみないと。自分も驚いているので、何とも言えない」と話すにとどまった。

 女子プロレス団体「スターダム」の2011年1月23日の東京・新木場大会(対美闘陽子)でデビューした世Ⅳ虎は、元ヤンキーの経歴そのままのキャラで人気を博し、中心選手となった。ところが、昨年2月22日に後楽園で行われた安川惡斗(あくと=29、引退)との試合が“凄惨マッチ”になり、安川の顔面を破壊。この試合は世間的な注目も集めてしまい、団体側から無期限の出場停止処分を科された。

 この騒動により5月31日付で現役を引退することが発表された。だが、6月14日の引退セレモニーでは「プロレスを嫌いになってやめるわけではありません。今の中途半端な気持ちで大好きなリングに上がることはできません」と未練があることを示唆。しかもセレモニー中にスターダムのレスラー仲間から慰留されたことに不快感を示し、引退の10カウントゴングを聞かずにリングを下りていた。

 世Ⅳ虎の真意は不明だが、スターダム所属時代の2人は師弟関係にあり、世Ⅳ虎が全幅の信頼を置いていたのが高橋だった。しかも騒動の発端になった安川は昨年12月23日に現役を引退している。仮にこれが現役復帰への意思表示だとすれば、高橋率いるシードリングのリングに上がる公算が大きい。次回興行は3月7日に後楽園ホールで予定されている。ここで現役復帰するのかそれとも――世Ⅳ虎の動向から目が離せなくなってきた。