新日本プロレスのIWGPインターコンチネンタル王者・中邑真輔(35)が1月末をもって同団体を退団することが、6日までに本紙の取材で明らかになった。すでに新日プロ側も了承し、退団後は世界最大のプロレス団体・WWE(米国)に挑戦すると見られる。2002年のデビューから新日プロのトップ戦線を走り続けたプロレス界のカリスマが、新たな挑戦をスタートさせる。

 新日プロの年間最大興行、1月4日東京ドーム大会後に中邑の名前が米国のプロレス界を騒がせている。5日に現地専門誌が、中邑がWWEと契約すると報じた。さらに6日にはWWE公式ホームページのトップ画面にまで写真が掲載され、その“噂”が取り上げられた。

 基本的に新日プロ所属選手は毎年1月末までの年間契約を結んでおり、その契約が切れるまでは他団体との交渉は認められない。中邑本人は本紙の取材に対し「新日本プロレスと契約期間中なので、この場でお話しできることはございません」と“移籍報道”には口を閉ざした。新日プロの手塚要社長(43)も同様の理由で「公式に発表することはありません」と語るにとどまった。

 だが、関係者の話を総合すると、すでに中邑は昨年12月下旬に行われた契約更改の場で、2016年1月31日をもって退団する意向を伝えているという。10年以上にわたりトップに君臨した国内盟主団体を去るとなると、次の選択肢は必然的にプロレス界のメジャーリーグ・WWEへの挑戦に限られる。実際に中邑は4日東京ドーム大会の試合後に今後の野望として「世界ですね。自分の思う、自分の目指すさらなる高みのステージを、それを目指して生きていきたいと思ってます」と意味深長な発言をしていた。

 かねて中邑は海外志向が強かった。それは、レベルの高い日本のプロレスを世界に発信したいという気持ちからのこと。さらに近年は新日プロの人気と業績がV字回復。現IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカ(28)も台頭した。中邑は暗黒期と呼ばれた2000年代前半から棚橋弘至(39)とダブルエースとして支え続けてきたが、一人のプロレスラーとしての夢をかなえるために安心して新日マットを去る環境が整ったことも決断を後押しした要因の一つと見られる。新日プロにとっては大きな衝撃であり痛手に違いないが、最大級の功労者である中邑の希望を尊重し、すでに退団を了承している模様。今月中には正式な発表がありそうだ。

 中邑は若手時代からアントニオ猪木氏(72)の寵愛を受けたエリート中のエリートで、総合格闘技の世界でも実績を残した。現在は「イヤァオ!」の決めゼリフや独特のしなやかなムーブで人気を博し、新日プロ所属選手の中では海外での評価が最も高い。

 親交のあった元WWE世界ヘビー級王者ダニエル・ブライアン(34)をはじめWWE関係者からも幾度となくラブコールを送られており、正式に挑戦すれば好条件が用意されることも確実。現在の日本プロレス界最高のカリスマが、ついに世界に羽ばたく時が来た。

☆なかむら・しんすけ=1980年2月24日生まれ。京都府出身。青山学院大学ではレスリング部で活躍。卒業後の2002年に新日本プロレスに入団。同年8月に日本武道館の安田忠夫戦でデビューし、大みそかには総合格闘技にも初挑戦。03年12月には史上最年少記録となる23歳9か月でIWGPヘビー級王座を獲得。同王座は3度戴冠した。「キング・オブ・ストロングスタイル」の異名を取り、棚橋弘至とともに新日プロのエースとして活躍。現在はIWGPインターコンチネンタル王座の絶対王者として君臨している。必殺技はボマイェ。188センチ、104キロ。