【新日本プロレス1・4東京ドーム大会】IWGPインターコンチネンタル選手権は、王者の中邑真輔(35)がAJスタイルズ(37)を退けてV2に成功。世界へその名を響かせた。

 4年連続でインターコンチネンタル王者として1・4東京ドームの舞台に立った中邑。過去3年は桜庭和志、棚橋弘至、飯伏幸太らの強豪と死闘を展開してきた男が「現時点で自分にとっての最高の相手」と心待ちにしていたのが、AJとのシングル初対決だった。

 世界中が注目する一戦でまず最初に動いたのは中邑だ。昨年11月下旬に負傷したAJの腰へ、集中攻撃を仕掛けた。しかし、いつもと何かが違う。独特の動きで“中邑ワールド”に引き込もうとするが、フェノメナールには通用しない。歯車が狂った王者はボマイェを4度もかわされ、カーフキラーを左足に決められるなど苦しい展開が続いた。

 ようやくダイビング式やスライディング式のボマイェが命中するものの、その後が続かない。三角絞めで捕獲しても、そのままスタイルズクラッシュを決められ、目がうつろになった。しかし23分過ぎ、中邑が勝負に出た。雪崩式スタイルズクラッシュを阻止すると、そのまま起死回生の雪崩式ランドスライドへ。最後は後頭部と顔面にボマイェを連打して、勝利をもぎ取った。

 試合後、右の拳を突き出すとAJも左の拳で応じた。「最高のタイミングで、2人がプライムなうちに、東京ドームでやれたことに感動しました。敵対する相手にあるまじき行為とは思いますが、リスペクトがあります」と中邑は胸中を素直に明かした。世界的な発信力を持ち、自身も「世界一のプロレスラー」と認める相手を下したことで、今後の目標もハッキリ見えてきた。

「世界。世界ですね。自分のさらなる高みのステージを目指して生きていきたい」。中邑は静かに頭を下げると、早くも次なる戦い=海外進出に向けて目を輝かせた。