今年で42回目を迎えた東京スポーツ新聞社制定「2015年度プロレス大賞」選考委員会が7日に開かれ、最優秀選手賞(MVP)は新日本プロレスのIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(28)が2年ぶり3度目の受賞を果たした。また、年間最高試合賞(ベストバウト)は天龍プロジェクトの11月15日東京・両国国技館大会で行われた天龍源一郎(65)の引退試合(オカダVS天龍)が選ばれ、オカダは3年ぶり2度目の2冠達成となった。授賞式は来年1月21日に東京都内のホテルで行われる。

 この日の選考会でMVP候補に名前を連ねたのは、オカダと天龍の2人。引退イヤーでプロレス界を盛り上げ、各メディアに引っ張りだこだった天龍に「リアルレインメーカーになった」といった声が上がったなかで、オカダは「(MVPは)未来形であるべき」「業界のトップとして天龍引退試合の大役を果たした」と高い評価を得た。結果的に1回目の投票で19票中11票を集めたオカダが、同賞史上最も極端なマッチレースを制した。

 2015年は1月4日東京ドーム大会で棚橋弘至との頂上決戦に敗れ涙のスタートとなったが、7月にAJスタイルズを撃破しIWGPヘビー級王座に返り咲き。新日プロが21年ぶりに再進出した大阪城ホールにカネの雨を降らせると、10月の両国大会では初防衛に成功した。

 さらに11月には天龍の引退試合で勝利を収め、「昭和」から「平成」へと時代のバトンを受け取った。プロレス史に永遠に残る「オカダVS天龍」は年間最高試合にも選出された。3度目のベストバウト受賞となり、12年に自身が達成して以来となる2冠の栄誉に輝いた。

 2年ぶり3度目のMVPについて、オカダは「活躍が認められてうれしいっす。新日本プロレスを引っ張ってきた自負があるんで」とニヤリ。天龍戦がベストバウトに選ばれたことには「正直、複雑ですね。まだまだつらい試合は(他にも)ありましたし」としながらも「二度とない試合という意味では、昭和のプロレスファンに今のプロレスを見せられたのはよかった。普段、連絡来ないような人からの反響もありました」と、プライドをのぞかせた。

 プロレス大賞においてMVP3度は、6度受賞のアントニオ猪木、4度の天龍、武藤敬司に次ぐ歴代4位タイの記録で、故ジャンボ鶴田さんと棚橋に並ぶ。28歳の若さにしてそうそうたるメンバーに名を連ねたが「6度が最多? 超えるでしょ。簡単な話。あんまり記録にこだわりはないですけどね」と堂々と言い切った。

 過去の受賞時には歴代の名レスラーに「僕と同じ時代じゃなくてよかった」と大口を叩いた。だが、実は天龍と直接肌を合わせたことで記録の重みも知ったという。「猪木さんのことはもう(試合で知ることはでき)ないけど、天龍さんは(試合を通じて)知っちゃいましたからね。これから後は、こういうことで比べられていく。やっぱりまだ自分がやってない3年連続(MVP)とかも取りたいですから」と責任感も見せた。

「来年の抱負も言っていいすか? そろそろ結婚したいです(笑い)。相手がいたらこんなこと言わないんですけど。プライベートも充実すればリング上ももっと充実するかなって思うんで。理想のタイプですか? 特にありません」と新たな“野望”もぶち上げた。プロレスの未来を背負うレインメーカーが中心にいる限り、カネの雨がやむことはない。