元AWA世界ヘビー級王者のニック・ボックウィンクルさんが14日(日本時間15日)に死去したことが16日、分かった。80歳だった。WWE公式サイトなどが報じたもので、死因は明らかになっていない。

 ミネソタ州セントポール出身。父親のウォーレンさんも往年の名レスラーとして知られる。少年時代から父と同門だった元NWA世界ヘビー級王者の“鉄人”ルー・テーズに英才教育を施され、10代でプロデビュー。大学時代はアメフットの選手として活躍し、卒業後から本格的にプロレス界に身を投じた。

 1964年7月、日本プロレスに初来日。2度目の来日(70年)では第1回NWAタッグリーグ戦にジョニー・クインとのコンビで参戦。優勝決定戦(同年11月)でアントニオ猪木、星野勘太郎組と60分フルタイムドローの熱戦を展開した。延長戦の末、猪木が卍固めでボックウィンクルさんを撃破したが、合計72分の激闘で評価を上げた。

 72年1月にはAWA世界タッグ王座奪取。75年11月には“帝王”バーン・ガニアからAWA世界ヘビー級王座奪取。同王座は通算4度戴冠してボックウィンクルさんの代名詞ともなり、全日本プロレスで多くの名勝負を生んだ。なかでもジャンボ鶴田さんが日本人として初めてAWA王座を奪取した試合(84年2月)は記憶に残る。

 2007年にはWWE殿堂入りも果たした。かつてのライバル・猪木氏は「最後にお会いしたのは、私のWWE殿堂入り式典(10年3月、アリゾナ州フェニックス)でした。活躍していた頃の彼の姿が思い出されます。ご冥福を心よりお祈り申し上げます」と追悼のコメントを寄せた。