新日本プロレスのIWGPヘビー級王者、オカダ・カズチカ(28)が8日、ミスタープロレス・天龍源一郎(65)の引退試合(15日、両国国技館)の相手を務める真意を明かした。両者の年齢差からして勝負論が成り立たないと断言するオカダにとって、真の敵は天龍にあらず。「平成VS昭和」の一大決戦の先に見据えるものとは――。

 ミスタープロレスの引退試合までいよいよ残り1週間。しかしオカダの不敵な態度は変わらない。「正直、そんなに燃えてないっすよ。すごい強い人とやるわけではないですし」と余裕の表情だ。

 そもそも65歳の天龍と、現役IWGP王者にしてプロレス界のトップである自分とでは「勝負論」が成立しないというのがオカダの考え。生きた時代があまりに違いすぎて「どっちが強いというのはもう決められない」というスタンスがある。

 それでも両国のリングに上がる理由は何なのか。オカダは「戦う相手、ですよね。リング上では天龍さんなんでしょうけど、天龍さんの向こう側にいるファンの人たち。審査員じゃないですけど、今のプロレスをナメないでもらいたいし、そういうのは僕じゃないと見せられない」と言い切った。

 真の敵は天龍ではなく、その背後にある「昭和」そのものだ。「プロレス女子」なる言葉とともにプロレス界は人気が再燃中とも言われているが、現実を見渡せば東京ドームクラスの興行はいまだ年1回のまま。興行規模がかつてより縮小している状態に甘んじておいてブームもへったくれもないというわけだ。「プロレス女子がいなくても、今よりもお客さんが入ってたわけじゃないですか。そういうオールドファンが見に来ると思いますし。再び会場に来てもらえるように? そうですね。きっかけというか。利用したいと思うし、それしか考えてないっす」

 オカダにとって天龍戦は、時代とともに移り変わってしまったファンに、現在のプロレスの魅力を伝える戦い。「革命終焉」を、新たなる黄金時代幕開けの瞬間に変えるつもりだ。