猪木チルドレンがまた一人、政界へ! IGFの“売名王”ことプロレスラーの澤田敦士(32)が千葉・我孫子市議選(11月8日告示、同15日投開票)に出馬することが15日、本紙の取材で分かった。IGF総帥のアントニオ猪木参院議員(72)から全面バックアップの約束もとりつけ「これで選挙戦を一気に走り切れる」と政界進出に決意を新たにした。同じプロレスラーでは大仁田厚(57)が千葉・袖ケ浦市長選の出馬を断念したが、こちらの「あつし」は近日中に正式発表する予定だ。

 澤田は北海道・旭川市出身だが、約10年前から我孫子市に在住。明治大学在籍時から政界に関心があったといい、昨年8月にはオセアニアのスポーツを支援するNPO法人「OSSO」(オセアニア地区スポーツ支援機構)を設立してスポーツ外交を推し進めてきた。

 そのかたわら「我孫子には嘉納治五郎先生(講道館柔道創始者)の別荘跡があり、柔道に縁が深い。しかし、その跡地は誰も来ないような場所。まともに整備もされていない。そのうえ市の体育館には柔道場がない。街の少年柔道の監督からは『行政は何もしてくれない。なんとかしてくれ』と声が届いていた。そうするうち、オセアニアだけでなく地元・我孫子もスポーツで元気にしたいと思うようになった」。澤田は出馬理由をこう説明した。

 一方、プロレスラーと政治家の“二足のわらじ”に不安もあった。そこで、偉大な先駆者でIGF総帥の猪木氏を表敬訪問することに。愛弟子を出迎えた猪木氏は「俺がスポーツ平和党で立候補した時『スポーツと政治は関係ない』と偉い先生に言われたが、今では両者、密接な関係にある。オリンピックしかりで。お前はスポーツで世に出たんだし、難しいことを言うのは似合わない。3つぐらいに政策を絞って、他は逆に有権者から意見を聞きながらやるぐらいのつもりで頑張れ」とエールを送った。

 さらに猪木氏は澤田に我孫子市の現状を逆質問し、かつてはうなぎの養殖で栄えた手賀沼の水質汚染問題を聞くと「だいたいの立候補者はまず『手賀沼をきれいに』と言うだろうが、具体的にどうきれいにするのか提示しないとダメ。俺はいい方法を知っているぞ」と澤田にアドバイスする場面もあった。

 また、澤田からの応援演説の依頼には「1回だけでいいの?」とあっさり快諾。「当選したあかつきには、小川(直也=47)くんをひざまずかせて、汗を拭かせるぐらいやったらどうだい? ムフフ」とハッパをかけるや“闘魂注入ビンタ”を食らわし、愛弟子の支援を約束した。これには緊張し続けていた澤田も「少し不安もあったが、これで払拭された。選挙戦を完走できる。背中を押していただいた」とやっと笑顔に。

“猪木チルドレン”といえば、先日の内閣改造で元プロレスラーの馳浩氏(54)が文部科学相に就任したばかり。党は違えどいまだに強固なパイプでつながれている。

 もちろん、今後も澤田はプロレスラーとしての活動も続けていく。猪木氏は「澤田はまだ若いだろ? 我孫子もいいが、将来、中央のことも考えながらやっていってほしい」とややフライング気味ながら、大いに期待をかけた。

☆さわだ・あつし=1983年8月20日生まれ。北海道・旭川市出身。小学校を卒業後、柔道私塾「講道学舎」に入門。世田谷学園高から明治大学に進み、2002年全日本ジュニア体重別選手権100キロ級で優勝。卒業後は小川直也主宰の小川道場入りし、07年にIGFでプロレスデビュー。08年度東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞新人賞受賞。今年5月には「GENOME―1 トーナメント 大阪」優勝。180センチ、105キロ。