新日本プロレス12日の両国国技館大会でIWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカ(27)が、AJスタイルズ(37)の挑戦を退け初防衛に成功した。来年1月4日東京ドーム大会では、内藤哲也(33)との挑戦権利証争奪戦を制したG1クライマックス覇者・棚橋弘至(38)とのV2戦が決定。プロレス界年間最大興行は、2年連続で「オカダVS棚橋」の黄金カードとなった。

 7月の大阪城ホール大会でベルトを奪った前王者との再戦は、お互いに手の内を知り尽くした超ハイレベルな攻防の連続となった。オカダは20分過ぎに高角度ジャーマンからレインメーカーを炸裂させるが、AJのセコンドについていた「バレットクラブ」にレフェリーのカウントを妨害されてしまう。

 雪崩式ブラディサンデー、カーフキラーとAJの反撃を許したオカダだったが、最後はコーナーポスト上での攻防が勝敗を分ける。デッドリードライブの要領でAJをリング上に投げたかと思いきや、左腕で相手の体をつかんだまま引きつけてレインメーカー一閃。そこから怒とうのレインメーカー3連発で激闘に終止符を打った。

「ドームまでにベルトを輝かせないといけなかったんで。ふさわしい相手だったと思います」とAJを称賛したオカダは、年間最大興行に堂々王者として出場することが確定。G1クライマックス覇者の棚橋が権利証を死守したことで、2年連続のドーム頂上決戦が決定した。

 今年のドームでは棚橋に敗れ、クールな男が珍しく涙を流して花道を引き揚げた。オカダ自身はあくまで「泣いてないっす」と言い張るが、プロレス界最大の舞台で輝けない自分自身への悔しさは隠し切れなかった。3年連続でドームでIWGP戦を戦っているオカダも、2度は棚橋に試合で敗れ、2014年もファン投票で棚橋と中邑真輔のIC戦の後塵を拝して、試合がセミに降格している。それだけにドームで棚橋を打倒することが、現在の最大のテーマだ。

「毎年今年こそって思ってますけどね。レインメーカーらしくない唯一の場所ですから。本当のところはドームで何年連続とかいう記録があるっていうのが小さい話で、1年に何回もドームをできるようにしたいわけですから」

 新日プロに新たな歴史をもたらした男が、いまだ乗り越えられない最後の壁。来年こそドームに、カネの雨を降らせる。