天龍プロジェクトの9月2日東京・後楽園ホール大会で天龍源一郎(65)と初タッグを結成する柴田勝頼(35)が21日、ミスタープロレスへの恩返しを誓った。若手時代から試合を通じてプロレスの厳しさを教え込まれた天龍はあまりに特別な存在。天龍プロ最後の後楽園大会で、パートナーに抜てきされた柴田が抱く思いとは――。

 同大会で柴田は天龍と組み、鈴木みのる(47)、飯塚高史(49)組と対戦する。天龍との初タッグ実現に「光栄です。自分のことを気にかけてくれてたのもうれしかったし、引退前に何か俺にできることはないかと思っていた」と並々ならぬ闘志を燃やした。

 それだけ「ミスタープロレス」はレスラー人生に大きな影響を与えた特別な存在だった。柴田が新日本プロレスに在籍していた2003年から、天龍が外敵軍として新日マットに参戦。30歳も年が離れていながら、リング上では厳しい攻撃を浴びせられた。04年10月の両国大会ではビール瓶で殴られたこともある。「まだ若手でプロレスの『プ』の字もわからない状態で、所属じゃない天龍さんが試合で教えてくれた」

 柴田の新日プロ所属時代最後の試合(04年11月13日、大阪ドーム)は、天龍とのシングルマッチだった。大激闘の末にグーパンチで3カウントを奪われている。

「奥歯を折られて、首もしびれて、ボロボロになってトレーナー室にいたのを覚えてる。『これもプロレスなんだな』って思った気がしますよ」と振り返り、天龍との戦いは後の財産になった。

 フリーに転身し、総合格闘技参戦を経て、12年9月から古巣・新日プロに再参戦。11月15日の東京・両国国技館大会で引退試合を控える天龍に「恩返しがしたい」と言い切る。

「名前を出してもらって運命を感じた。最後に学ばせてもらいたいし、『成長したな』ってくらいの試合をしたい」。師匠でもなければ、団体の先輩でもない。それでもかけがえのない恩人のため、後楽園のリングに上がる。