新日本プロレス「G1クライマックス」9日の後楽園大会でBブロック公式戦が行われ、IWGPインターコンチネンタル王者・後藤洋央紀(36)が石井智宏(39)を破り2敗を死守した。決勝戦(16日、両国国技館)進出に首の皮一枚つないだ後藤は、IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(27)との統一戦の舞台を来年1・4東京ドームに指定。その理由と、下半期に定められた宿題とは――。

 前NEVER王者との一戦は、エルボー、首折り弾が乱れ飛ぶ肉弾戦となった。

 真っ向勝負で石井を迎え撃った後藤は、ヘッドバット合戦を制すると、ダメ押しの頭突きでダウンを奪う。最後は昇天・改で熱闘に終止符を打った。

 これで2敗を死守した後藤は、1敗のオカダを1勝差で追走。オカダとの公式戦(1日、大阪)に勝利しているものの、2敗の中邑真輔(35)には4日の仙台大会で敗れている。オカダと中邑が直接対決(15日、両国)を残しているため、仮に2敗で並ぶ展開になれば中邑が優位。Bブロック「3強」の中では最も不利な立場と言える。

 得点状況だけではなく、中邑戦の敗戦はあらゆる意味で痛恨だった。オカダとの王者対決を制し「統一戦」の機運が高まった直後だった上に、腕ひしぎ逆十字固めで屈辱のギブアップ負け。「ヒジをケガしてるヤツにヒジを決められたわけですから。あの負けは引きずっている。借りができた」。この一戦で、上半期に収めたIC王座戦2連勝が帳消しになったと言っても過言ではない。

 それだけに後藤はG1制覇後も中邑とのケジメを最優先するつもりだ。「1日でも早くと思っていたけど、俺も納得できる形で挑戦したいしね。しっかり身辺整理して、それにふさわしい場所で」と、統一戦を来年1・4東京ドームに指定した上で、中邑とのIC王座防衛戦を自らに義務付けた。

 もともとG1覇者への特典は、翌年1・4ドームでの挑戦権利証が通例とされていた。後藤はこのシステムをICベルトで引き継ぎ、年内防衛を果たした上で統一戦へ突き進む意向。その相手筆頭候補が中邑というわけだ。

 もっとも優勝を逃して権利証がオカダを除く他選手に渡った場合は、そのプランも水の泡と化してしまう。

 肝いりの公約を最高の舞台で実現すべく、後藤は人事を尽くし天命を待つ。