先週まで店頭に置かれたスポーツ誌「Number(ナンバー)」(文芸春秋)882号は、14年ぶりのプロレス特集号だった。表紙登場をかけた新日本プロレス総選挙も話題に。プロレス人気復活が叫ばれる中、松井一晃編集長に経緯と反響を聞いた。

「売れ行きも通常よりよかったし、総選挙も1万2000人近くに投票していただいた。SNSでは『面白かった』『棚橋1位はよかった』などとものすごい反響があり、予想以上でした」

 プロレス人気復活をけん引する新日プロを大特集した882号は、創刊35年の同誌で初めて表紙を読者投票で決めることが注目された。それが新日プロ総選挙。5月末から約1か月間、1人最大3票のネット投票が行われ、締め切り寸前に棚橋弘至(4479票)が中邑真輔(4160票)を抜いて表紙を飾る。3位は3303票のオカダ・カズチカだった。

「週刊文春の『好きな女子アナ』などでは、回答者に偏りが出ないよう2000人アンケートとして行っている。回答者1万人は、アンケートの数字としては異例です」

 ナンバーがそれ以前にプロレスを特集したのは2001年の513号。新日の新エースと期待の中西学が表紙に起用された。以後、格闘技ブームの中でプロレス人気にかげりがさし、同誌も遠ざかった。

 編集部でプロレス企画の提案が出たのは1月ごろ。人気復活を耳にした松井氏も3月、東京・後楽園ホールで新日プロの熱気に接し、関心が高まった。後日、プロレスに造詣の深いタレント・プチ鹿島(東スポWebでコラムを執筆)から総選挙のアドバイスを受ける。ファン待望の14年ぶり特集ということで「ガチ」の選挙が実現した。

 接戦を受けて棚橋、中邑の両パターンの表紙を用意。「2人の人気は断トツ。もう1回投票をやれば、今度は中邑選手が1位かも」。プロレス人気復活を実感した松井氏は次なる特集にも意欲をのぞかせた。