新日本プロレス「G1クライマックス」29日福岡大会でAブロック公式戦が行われ、棚橋弘至(38)とAJスタイルズ(37)が揃って2敗目を喫する大波乱が起きた。痛恨の連敗の2人は、ともに負傷の影響が大きく今後も苦戦は必至。Bブロックで途中欠場中の中邑真輔(35)も含め、今年のG1は優勝候補にアクシデントが続出する“魔の前半戦”となった。

 棚橋はこの日、バッドラック・ファレ(33)と激突。ハイフライフロー2連発を決めながらも、相手セコンドの妨害で3カウントが幻に終わってしまう。反撃のグラネード(変型首折り弾)を浴びて劣勢に回ると、最後はフォーリングココナッツ(ダイビングボディープレス)で140キロ超の巨体に圧殺された。

 棚橋は昨年の公式戦でファレのバッドラックフォールに沈んで首を負傷。その古傷が今年の開幕戦で飯伏幸太(33)の槍投げを浴びた際に再発した。満身創痍で戦ってきたが、因縁の相手に痛恨の連敗を喫してしまった。

 Bブロックでは同じく優勝候補の中邑が左ヒジ負傷で途中欠場中。棚橋にとっても人ごとではない。この日の試合前には「首は痛いですよ。頭皮の右半分までしびれている」ともらしていた。さらなる悪化はリタイアに直結する危険性もある。

 団体の人気再燃もあり、今年上半期のオフは「月1であるかどうか」(棚橋)という多忙な日々を送った。その上で過酷日程のG1に突入。棚橋は「今までのリーグ戦と毛色は全く違いますね。鉄人レース、トライアスロンですよ。ただそういうの(負傷)は覚悟の範囲内ですから。這ってでも出ますよ」と悲壮にもエースの使命感を燃やすが、肉体は限界に近づきつつある。

「まだ終わらねえからな!」と叫び会場を後にした棚橋。

 爆弾を抱えながら歩むエース復権への道のりは、あまりに険しい。