【新日G1】飯伏下したエース棚橋が心に秘める「8年前の清算」

2015年07月22日 06時00分

初戦を白星で飾った棚橋は、超満員の場内から大歓声を浴びた

 新日本プロレスの真夏の祭典「G1クライマックス」が20日、北海道・札幌市の北海道立総合体育センター(北海きたえーる)で開幕。Aブロック公式戦で、優勝候補のエース・棚橋弘至(38)が飯伏幸太(33)との注目の初対決を大激闘の末、制して白星発進した。2007年大会以来8年ぶりの頂点で復権を目指すエースが、今大会の裏で抱く2つのモチベーションとは――。

 現在のマット界で最も待望された「逸材VSゴールデンスター」の初対決。飯伏のケブラーダ、棚橋の場外ハイフライ弾が乱れ飛んだ空中戦は、時間の経過とともに攻防が激化した。

 スワンダイブ式ジャーマン、雪崩式フランケンシュタイナーといった変幻自在な飯伏の猛攻に耐えた棚橋は、オーバーヘッドキックをキャッチすると裏ドラゴンスクリューで反撃。なおも飛んできた掌底をかわしてドラゴンスープレックスだ。最後はハイフライフローで決勝戦級の大激闘に終止符を打った。

 棚橋は「飯伏がいればプロレス界は安泰」と最大級の賛辞を贈りつつ、エアギターと「愛してま~す!」で札幌決戦を締めくくり、最高のスタートを切った。

 2月以降はタイトル戦線に絡めなかった。G1で復権をかけて戦うエースには、確かなモチベーションがある。新日プロ再興の立役者として揺るぎない評価を得てきたが、唯一のG1制覇を果たした2007年大会は実は苦い思い出。まだ「存在感に説得力がなかった」ため、両国の決勝大会は超満員札止めにならず、悲願の栄冠を手に入れた瞬間も一部からブーイングが飛んだ。

「やさぐれてましたね。僕が見てきたG1の優勝者ってファンからもリスペクトを受けてきたので。僕か内藤(哲也=13年大会)くらいじゃないですか? 歴代で祝福されなかったのは」。それだけに再び迎えた黄金期で“真のG1覇者”となり、8年前の清算を果たす必要がある。

 もう一つの原動力は新たに生まれた使命感だ。昨今メディアでは「プロレスブーム」の文字が躍っているが、棚橋はかねて「そういう言葉を使うと(今が)天井っぽいんですよ。ようやくプロレスのカルチャーが伝わり始めた段階で、まだまだこれから」と懐疑的。そんななかで開幕前の18日には木谷高明オーナー(55)から新日プロの株式上場計画が明かされた。これを受け棚橋は「プロレス界をさらに発展させるための大号令だと受け止めてます。天井を取っ払われた。その中心になるのは俺しかいないでしょ」と、常により高みを目指していくことの重要さを再確認している。

 円熟期の38歳にして、なお現状に満足しない。正念場で迎える今年のG1こそ真価を問われる舞台。史上最長の全19大会で「業界の顔」としての覚悟を示していく。