ミスタープロレス・天龍源一郎(65)が30日の大日本プロレス札幌テイセンホール大会に出場し、北の大地で最後の雄姿を見せた。大日本で刺激を受けた天龍は、11月15日の最終興行(東京・両国国技館)に向けた引退ロードの中で、ふさわしい相手がいればデスマッチにも出陣する考えだ。さらに、8月23日のDDT両国大会で初めて共闘する赤井沙希(28)には厳しいエールを送った。

 大日本プロレスには2010年5月の15周年大会(横浜文化体育館)に初出場してから、これが3度目の登場。若手から73歳の大ベテランまでスタイルに応じて活躍するリングを「グレート小鹿がつくっただけあって、昭和のプロレス団体の香りを残しているよな」と絶賛した。

 特に注目するのが、大日本が創立以来の柱としているデスマッチだ。天龍もランバージャックや電流爆破を経験済みで、プロレスのスタイルの一つとして認めている。

「大仁田(厚)はプロレスのすごさを電流爆破に求めたけど、大日本はプロレスラーのすごさをデスマッチに求めた。大日本は俺が見てもすごいよ。何を求めてここまでやるの?と思うし、それでいて愛情を持っているデスマッチだから」

 こう口にした天龍は、心の奥底に眠っていた感情がよみがえった様子。引退ロードでの自身の出場について聞かれると「デスマッチだから、やる相手が必要だよ。今はそんな相手がいないな。ふさわしい相手がいたら? そりゃ、やる可能性があるのは当然ですよ。冥土の土産にね。最後だから、後悔のない試合をしたいし」と口にした。

 8月30日にも大日本の名古屋大会出場が決まっているほか、10月には同じくデスマッチを主流とするフリーダムズで2大会への出場を予定している。天龍プロジェクトの嶋田紋奈代表(31)によると、現状は殺到するオファーを断っている状態だが、すでに発表された7月からの引退ロード9大会以外でも、ふさわしい相手と場所が用意されれば受ける意向だ。

 また8・23DDT両国大会での初タッグが正式決定した赤井については「今はお父さん(赤井英和)の人気と(ファンの)好奇心だけであの地位にいると思う。プロレスの技で魅せられる要素がある選手だし、そういう選択をしてほしいな。なめているようならオヤジの代わりに張り倒してやるし、ふがいない試合したらサッカーボールキックかましてやるぞ、オウ!」と厳しく通告した。

 最後の札幌決戦でタッグ戦に出場した天龍は、大声援を背に大暴れ。重いチョップとグーパンチを橋本和樹と神谷ヒデヨシに浴びせ、26年前にジャイアント馬場さんから勝利を奪った思い出の地に別れを告げた。