世IV虎「電撃引退」の舞台裏

2015年06月01日 16時00分

小川社長は大会後、世IV虎の引退を電撃発表した

 女子プロレス「スターダム」は5月31日、同日付で所属選手の世IV虎(21)が引退することを電撃発表した。14日の東京・後楽園ホール大会で、ファンに最後のあいさつをする。2月22日の後楽園大会で行われた安川惡斗(28)との試合が凄惨マッチとなり、無期限出場停止処分中だった世IV虎が、4年4か月の現役生活にピリオドを打つに至った経緯とは――。舞台裏に迫った。

 

 この日の東京・新木場1stRING大会後だった。スターダムのロッシー小川社長(58)は緊急会見を開き、「世Ⅳ虎選手と昨日(30日)話し合いを持ちまして、彼女の意向で引退したいと。5月31日付で引退ということになりました。区切りをつけないと次に動けないということでした」と発表した。

 

 2・22後楽園大会では安川の顔面を“崩壊”させ、重傷を負わせた。皮肉なことにも、これが女子プロレスに対する世間の関心を集める形になった。事態を重く見た団体側は無期限出場停止処分とワールド・オブ・スターダム王座の剥奪を科していた。

 

 スターダムの旗揚げ戦となった2011年1月23日の新木場大会(対美闘陽子)でデビューした世IV虎は、現在では数少ない旗揚げメンバーの一人だ。その功労者がプロレス界に見切りをつけたのは、実は試合直後のリング上だった。親しい関係者によると「(小川社長から)ベルトを受け取る時、『何をやっているんだ!? どう責任を取るんだ!』と言われた。あの時、もう辞めようと思った」と口にしていた。何とか試合を成立させよういう気持ちがあったが伝わらず、これで心が折れたという。

 

 その後も“加害者”のイメージが先行してしまうが「団体が守ってくれない…」と不信感を募らせていた。さらに、退院後の安川が世IV虎についてコメントするたびに不快感を覚え「安川がいるリングには戻れない」と漏らしていたという。それでも3か月にわたり周囲から「引退は早い。落ち着いて考えた方がいい」と慰留されたが、5月中旬にはスターダム内で最大の理解者だった高橋奈苗(36)が退団したことも、最終決断を促した。

 

 30日に小川社長と直接会談した直後、世IV虎は業界関係者らに引退を報告。吹っ切れた声で「頑張ってきたのは、スターダムという団体を大きくするためでした。スターダムでやらないと意味がないし、もうプロレスをやりたいとは思いません」と話していたという。

 

 騒動直後から3~4度、話し合いを続けてきたという小川社長は本紙に「慰留はした。試合後に叱責? お互いに興奮していましたからね。団体が守らなかった? ケガをさせたわけだし、あの場はそうするしかなかった」と語ったが、両サイドに一度入った亀裂は最後まで埋まることはなかった。引退後の去就は白紙で、「現時点では復帰は全くない。ただ、経験すれば分かることだけど、時がたてばやりたくなる気持ちが出てくる可能性があるかも」(前出の関係者)。

 

 世間を騒がせた凄惨マッチは、当事者となった21歳の若き有望株が引退という形で結末を迎えることになった。

 

☆よしこ=本名非公表。1993年7月26日、東京都葛飾区出身。11年1月23日の美闘陽子戦(新木場)でデビュー。元ヤンキーの経歴そのままのキャラで人気を博し、昨年8月にはワールド・オブ・スターダム王座を獲得した。必殺技はダイビングセントーン。160センチ、75キロ。