新日本プロレス29日のグランメッセ熊本大会で行われたNEVER無差別級選手権は、挑戦者の真壁刀義(42)が石井智宏(39)を撃破し第8代王者に輝いた。2月にインフルエンザでベルト返上を余儀なくされた前王者が、汚名返上の王座返り咲き。捲土重来の裏には、数々のメディアで活躍する真壁だからこその発奮材料が数多く存在していた。

 互いの意地がぶつかり合う肉弾戦が動いたのは20分過ぎだった。石井の猛攻をドラゴンスープレックスで止めた真壁は、左右のラリアートで王者をなぎ倒す。

 さらにハンマー3連発を見舞うと、最後はキングコングニードロップを突き刺し3カウントを奪ってみせた。激闘を制した真壁はリング上で「これがプロレスだ!」と勝ち誇った。

 1・4ドームで同王座初戴冠を果たすも、V1戦が予定されていた2月仙台大会をインフルエンザで欠場し、王座返上。プロレス界トップクラスのメディア露出を誇り、それまでベルト姿で出演していた真壁だけに、自分の体調管理ミスで王座陥落という失態は必要以上に全国に知れわたってしまった。

 だがそういった宿命と闘うことで、真壁は改めてリングの内外で危機感を抱くようになった。

「レスラーだから俺に価値があるわけで、いろいろな番組にも呼んでもらってるわけだからさ。本業をしっかりやってナンボだろうよ」

 4月上旬には日本テレビ系「ダウンタウンDX」の収録で、学生時代から憧れていたダウンタウンと対面。収録の合間に浜田雅功(51)から「真壁、お前おもろいやん!」と声を掛けてもらった。感激した真壁は、今度はトークだけでなく本業でも認めてもらえるように…と発奮していた。

 今後の野望は、再び腰に戻ってきたベルトにIWGPヘビー級王座以上の価値を植え付けることだ。「意地でも上がっていってやる。IWGPよりも有名になっちまうかもよ? いいか、必ずベルト持っていろいろなところに出まくってやる。(出演時に)持ってなかったら…大人の事情と思え!」と豪語した真壁が、NEVER王座をさらに上のステージへと導く。