新日本プロレスの内藤哲也(32)が、メキシコ遠征前に高いハードルを課した。

 先の「NEW JAPAN CUP」ではベスト4に終わり、またも浮上のキッカケを逃した内藤は、5月23日からのメキシコ遠征が決定。同国は2009年に武者修行を行った地で「低迷している中、原点でしっかり何かをつかんでこなきゃいけない。危機感をもって臨みたい」と誓いを立てた。

 だがその前に日本でやるべきことがある。遠征前最後のビッグマッチ・5月3日福岡大会では飯伏幸太(32=新日本・DDT)とのタッグ戦が組まれた。両者はNJC準決勝(3・15広島)で激突。プロレス界一の広島カープファン・内藤は「神様」とあがめる前田智徳氏がゲスト解説として放送席で見守る前で屈辱の敗北を喫した。

 しかも飯伏とのシングル戦績はこれで2戦2敗に…。2人はともに1982年生まれで「昭和57年会」なるプロレス界の闇組織に籍を置いているが、胸の内には強いライバル心がある。加えて2人とも業界内で友達が少ないため仲が良く見られることが多いだけで、実際はそれほど仲がいいわけでもない。

 NJC前に自損事故で内藤の愛車が廃車となった際も、飯伏は会場控室で「車どうしたんですか?(注・確実に知った上で聞いている)」「廃車になるほどの事故だったのに無傷の内藤さんはやっぱりすごいですよ」とニコニコしながら話し掛けてきたという。悪意があるとまでは断定できないギリギリのラインで他人の精神的傷口を広げるのは飯伏が得意とするところで、内藤もこの被害をよく受けているようだ。

「嫌いではないですけど、ジェラシーはありますからね。NJCが終わっても同じコーナーに立つことが多くて、なかなか借りを返す機会がなかったので」と腕をぶした内藤。「57年抗争」勃発の予感が漂う福岡決戦を制し、メキシコから復活ロードを歩み始める。