本気なのか。「IGF3」(11日、両国国技館)で、ニック・ロズボロウ(33=米国)と対戦する石井慧(28)が8日、合宿先のオランダから帰国。「勝っても負けてもこの試合で最後」と電撃的に引退を示唆した。

 体は万全だ。「あるのはドライアイぐらい」と快調そのもので、引退する理由などどこにも見当たらない。家族にも相談はしておらず「しばらく何もせず暮らせるほどの貯金はある。思うがままにいきたい」とモチベーションの低下をうかがわせた。長期休養、IGF離脱、柔道家再転向などではなく「人前で戦うこと」を辞めるという。次戦には父親の義彦さん(56)をセコンドにつけるというから相当な覚悟がうかがえる。

 昨年大みそかのミルコ・クロコップ(40)戦での惨敗が影響しているものと見られるが、石井は「ショックはない。勝敗はあくまで結果」。それでも「自分に期待していない」と弱気な言葉も飛び出し、空位となっているIGF王座についても「興味はない」と言い切る始末だった。

 これにはIGFのサイモン猪木取締役も「お子さんも生まれたし、そういう(心境の変化)のもあるのかな」と石井を気遣った上で「ミルコにリベンジしたいんじゃないの? こちらは(ミルコが)UFCを辞めたらオファーを出すつもりなのに。逆に石井選手にリベンジしたがっている藤田(和之)さんも『許せない』となるはず」と困惑した表情を見せた。

 その他にも「仏」「瞑想」「修行」「空(くう)」などスピリチュアルな言葉を連発。かと思えば「お金がなくなったら(現役を)続けるかもしれない」「試合翌日は浅草に行って(場外馬券売り場に)投資してギャラを増やす」などと周囲をけむに巻いた。試合結果によってはアッサリ“前言撤回”となりそうな雰囲気ではあるが…。