【カリフォルニア州サンノゼ発】日本人として史上2人目のWWE殿堂「ホール・オブ・フェーム」入りを果たした“炎の飛龍”藤波辰爾(61=ドラディション)が28日(日本時間29日)に当地のSAPセンターで行われた記念セレモニーに出席した。本紙は式典後、興奮冷めやらぬ藤波を直撃。緊張の英語スピーチから、同じ殿堂者で人気俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー(67)への“突撃秘話”まで余すところなく語った。

 ――殿堂入り式典が終わった今の心境は

 藤波:1978年にボクがアメリカに来た当時とは様変わりをしていましたね。(WWEは)昔はひとつの興行団体だったが、今では大企業。すごく感心したのはビンス(マクマホン会長)自らが率先して動いている。現場でね。彼とも昔を懐かしんでいろいろと話をしたけど、当時はまだ彼は学生だったんだよね。

 ――壇上から見た景色はどうだった

 藤波:もっと顔を上げてゆっくり見たかったですね。最初はゆっくりと見れていたんですが…すごい。本当にすごい。これはあそこに上がった人間しか分からないので、いろいろな人に経験してもらいたいね。息子(LEONA)に伝えたいし、見ることによって、ああいう場に立ちたいという気持ちを持ってほしい。

 ――英語でのスピーチだった

 藤波:緊張したのが自分でも分かるので、なんで落ち着いてできなかったんだろうと反省ばかりですね(苦笑)。短くてもいいから自分の生の声で感謝の気持ちを伝えたかった。アカデミー賞を超えるような状況を作り上げているので、今回その舞台に立てて「こんな感じなんだな」というのがよく分かりましたよ。

 ――スピーチを待っている時の心境は

 藤波:こっちは皆、うまいじゃないですか。マイク慣れもしているし。「彼らの後に出て行くのは嫌だな」とも思ったんですけど「いいや、ボクとは場数が違うんだから」と開き直って、ステージに出て行きました。お客さんはお金を払って授賞式だけを見に来るんだからすごいよね。

 ――バックステージではどのように過ごした

 藤波:シュワルツェネッガーと話をしましたよ(笑い)。これはあくまでも自分がファンという立場だったんですけどね。「映画をいつも楽しく見ている」と伝えてね。ロディ・パイパーとかボブ・バックランドとか懐かしい選手もいっぱいいましたね。リック・フレアーとは昨日たくさん話したので今日はあまり話しませんでしたが、とても気を使ってくれました。

 ――ジョン・シナら現役のスーパースターからも祝福された

 藤波:フレアーだけでなく多くの選手から「もっと早く殿堂入りすべき選手だ」と言われてうれしかったですね。2世選手とかは親父と試合をしたボクがいまだに現役なので驚いていましたよ。

 ――LEONAにもいい刺激になった

 藤波:プロレス界の頂点を見るわけだからね。日本の規模ではない、両国とか東京ドームとかとは違うものを見せておくと、今度は自分で夢を持つでしょうし、これからプロレスをやるだけでなく、いろいろなことを吸収するでしょう。良い勉強になると思います。

 ――父親の晴れ姿を息子に見せるのは米国的だ

 藤波:自分がアメリカでそういう光景を見ているのでね。日本でも大きい試合は家内を連れて行くし、それが当たり前。日本の場合はどうしても男優先で、家族は後回しになってしまうけども、せっかくそういう場面があれば、見せるべきだと思いますよ(笑い)。