【新日本プロレス・大阪大会(11日)】新日本プロレス11日の大阪・ボディメーカーコロシアム大会で行われたIWGPヘビー級選手権は、挑戦者のAJスタイルズ(36)が棚橋弘至(38)を撃破して第62代王者に輝いた。日本滞在わずか48時間、今週末には英国での試合を控える超強行軍をクリアしての王座強奪だった。世界を股に掛ける「フェノメナール」の貫禄を見せつけたAJは、この日の大会のタイトルマッチに全勝した極悪外国人軍団「バレットクラブ(BC)」でのワールドツアーの野望も掲げた。

 昨年10月にベルトを奪われた棚橋への雪辱に燃えるAJは、序盤からBCのセコンドを介入させるなど、手段を選ばず主導権を握る。さらに場外へハイフライフローを放った棚橋の顔面が、BCのセコンドについていたマット・ジャクソンの頭部と衝突し流血。戦況は有利になっていく。

 そして25分過ぎ、AJはハローポイント(変型脳天杭打ち)を皮切りに猛攻を開始。ブラディサンデーを発射すると、最後は代名詞のスタイルズクラッシュを決めて王座に返り咲いた。

 今回のIWGP戦はとてつもないハードスケジュールだった。成田空港に到着したのが前日10日の午後4時30分。さらに今週末には英国の団体「Rev Pro」で試合を控えており、一時米国に帰国するため12日夕方には日本をたつ予定。エディ・マーフィもビックリの「48時間」にも満たない滞在時間だった。

「疲れたことがない」が決めゼリフの棚橋のお株を奪うかのような、超強行軍をクリアしての王座強奪。それも世界中から殺到するオファーをこなしてきたAJだからこそ可能なことだった。新王者は「12~13年前から米国以外でもオーストラリア、アイスランド、フィンランド、韓国…それこそ試合をしたことがない国を探す方が難しいくらいだ。だから今回もノープロブレム。たった1日でもIWGP戦のようなチャンスがあればそれを逃しはしない」と勝ち誇った。

 AJ率いるBCはこの日のタイトルマッチ全4試合を制し、再び新日プロの制圧に成功した。AJは「いつかBCのメンバー全員で世界を回ってもいい。WWEしか見たことがない国の人間に、俺たちを見せたいね。ボスから仕事をもらっているだけの彼らとは違って、俺たちは自分のスタイルを楽しんでいる真のプロの集団なんだ」と豪語。大阪に絶望をもたらした超バッドエンドは、極悪軍団が世界に進出するための第一歩に過ぎない。