【復刻東スポ】天龍快挙!燃える闘魂猪木もフォール

2015年02月09日 15時35分

猪木(右)から3カウントを奪う大偉業を達成した天龍

【復刻東スポ】(1994年1月6日付)

<新日本プロレス1・4東京ドーム決戦:特別試合>天龍、夢のBI退治!新日プロ1・4東京ドーム大会(本紙後援)は6万2000人(超満員札止め)の大観衆がドリームマッチの連発に酔いしれた。天龍源一郎VSアントニオ・猪木の大一番は、天龍がパワーボムで“闘魂マジック”を封じ込めて快勝。ジャイアント・馬場に続いて猪木からも3カウントを奪う大偉業を達成した。

 天龍が落ちた。ロープ際で大の字。口を大きく開けたままピクリともしない。

 レフェリーの注意を無視して格闘技ルールで戦い続けた猪木。ナックルパンチを連発。天龍の左目下をハレ上がらせた。「拳だ。このヤロー」となじる天龍をにらみ返し、チョークを承知でスリーパーホールドを仕掛けてきた。

 天龍はロープに逃れる。レフェリーもブレークを命じた。それでも猪木は天龍のノドに左腕を食い込ませたままだ。「恐ろしい試合をやる」と予告していた通りのケンカ戦だ。

 天龍がロープをつかんだまま意識を失っていく。リングに崩れ落ちた時やっと“チョークスリーパー”が解かれたが、天龍の意識は戻らない。「初めて落ちた」という天龍屈辱のシーンだ。

 WAR勢がマットを叩く。新日勢が「フォールしてください」と叫ぶ。6万2000人の大観衆は、目を見開いて奇声をあげている。タイガー服部レフェリーが「これはプロレスルールです。格闘技ルールではありません」とマイクで説明した。ロープブレークを無視した結果での失神とあって10カウントコールも、猪木が「それなら」とおおいかぶさったのにもカウントしない。

 1分、2分…。会場がざわめく。WAR勢、新日軍の怒号も飛び交うが、天龍はピクリともしない。猪木の反則劇で起きた空白を破ったのは長州だ。猪木、天龍の2人と死闘を繰り広げてきたが大の字の天龍にビンタをかました。

「気合を入れたんだ。あのままほっとけない。オレも2人と一緒に戦っていた」(長州)というカツで天龍がわずかによみがえった。

 WAR勢が天龍を場外に落とし水をかける。天龍の体がやっと反応した。この間、3分40秒。まだ腰にきて右へ左へ揺れる天龍を若手の平井が思いきり張った。この一発で我に返った天龍は平井に逆水平チョップを叩き込み、決戦場へ戻っていった。

 突っ張りチョップ、対角線から対角線。予告通りの“相撲流掌底”だ。さしもの猪木が紙人形のように、ほんろうされた。ところが、天龍にもまだダメージが残っていた。延髄斬りで追い打ちを狙ったのに、自らふらついてしまった。

 猪木は卍固め。勝負をかけた。百も承知の天龍。力で猪木をはじき飛ばした。今の天龍と猪木ではパワー、底力が違う。

 今度は腕ひしぎ逆十字固めを繰り出してきた猪木。天龍がロープに逃れたのに、またまた離れない。会場から「反則だ」の声が上がった。

 いったん放した猪木だが、ロープに天龍の右腕を挟み込んでのアームロック。レフェリーに「どうして反則だ」と怒鳴りつけた。

 右ヒジを押さえ苦しむ天龍。相次ぐ猪木の無法に、ついに切れた。みけんにキック。ノド元へ“チョーク”チョップ。胸板へも逆水平チョップ。猪木の胸板に“ヒビ割れ”が生じた。

 猪木の張り手、パンチにももう屈しない。延髄斬りで追い込み、浴びせ蹴り。カウント2で返す猪木。ボディースラムの体勢から、そのままマットに叩き落とす。何とかカウント2ではね返す猪木だが、そろそろころあいだ。

 パワーボム。エビのように折れ曲がった猪木が、後頭部からマットに突き刺さっていった。

 ワン、ツー、スリー!15分56秒、エビ固め。天龍が猪木にフォール勝ち。馬場、そして猪木。日本人レスラーで初の快挙を、6万2000人が歓声でたたえた。