30日のW―1東京・後楽園ホール大会でWRESTLE―1チャンピオンシップが行われ、王者・武藤敬司(52)が征矢学(30)に薄氷の防衛。次期挑戦者を他団体から募るプランを披露した。

 チャンプは戦前、挑戦者を「ギミックレスラー」「ただのバカ」と一刀両断。散々こき下ろしてきた。しかし、征矢にも意地がある。11日の後楽園大会ではサソリ固めでギブアップを奪っており「すぐ(古傷の)ヒザを攻めると武藤さんのワナにはまる。攻めるタイミングが肝心」といつになく理論的に分析。目の前のベルトに執念を燃やしてきた。有言実行の挑戦者はリングでもワイルド殺法を封印。ドラゴンスクリューをかわし三角絞めで切り返すなど、スマートな攻めを見せた。

 とはいえ、スマートさでは武藤が一枚上手だ。征矢が満を持してサソリ固めの体勢に入ると、急反転して足4の字固めに移行。

 このトリッキーな動きで一気にペースをつかみ、今度は完璧なドラゴンスクリューから再び足4の字を決め、ギブアップを奪い取った。

 試合後、武藤は「『ただのバカ』って言ったのは訂正するよ」と挑戦者をたたえつつも「まだまだ発展途上という感じはしたな」と本音もチラリ。ヒザの影響から心肺機能のトレーニングができず、呼吸器にも影響が出ていたなかで王座を死守した。一方、次の挑戦者にはめぼしい候補がいないのも事実だ。王者は「他団体からでもいいよ」と爆弾発言。「他団体だと遠慮がないから、落とす可能性もあるな」と冗談めかしたが、現在、対抗戦を繰り広げているゼロワン勢を中心に意外な選手が名乗り出る可能性も出てきた。