W―1、30日の後楽園ホール大会で征矢学(30)を迎え撃つWRESTLE―1チャンピオンシップ王者の武藤敬司(52)が27日、王者としての使命を「あと半年」と限定した。

 2015年の防衛ロードが始まるに当たって武藤は「人間っていうのは複雑な動物でさあ。『早く俺の首を狩るヤツが出てくれ』と望む半面、『まだまだ』っていう気持ちもある」と揺れる心境を吐露した。

 V2戦を3日後に控えるとキャリア30年の武藤でさえ重圧が掛かるようで、マイナス思考が芽生えている様子。実際にコンディションは上向く気配がない。「本当に体が動かねえんだよ。単純な数字じゃ測れないけど、30歳の時が100%なら、今は30%か40%。70%近くはごまかしてるんだから」と話すように、化身のグレート・ムタがIWGPヘビー級王座を初戴冠した1992年に比べると、半分以下の状態に落ちていることを告白した。

 昨年11月に王者になってからは、ここ数年間セーブしていた試合数も増加。体調と反比例するかのように負担は増える一方で、武藤も「タイトル戦をやるたびに『これが最後かも』って思ってるよ。王者としてけん引できる期間? 気持ちはあっても、1年はないかもな…」と口にする。

 王者として最前線で戦えるのもあと半年、と武藤は踏んでいるのだ。言い換えるなら、その間にW―1勢から後継者が出てきてほしいという願いも込められている(注・征矢は除く)。「とにかくチャンピオンとしてやってる以上はやらないと。それが生きがいでもあるし、何クソって思って練習もできるから」と自身を叱咤激励した武藤。複雑な思いを抱きながらV2戦に臨む。