【新日1・4東京ドーム】新日本プロレス4日の東京ドーム大会で行われたIWGPヘビー級選手権は、王者・棚橋弘至(38)が、オカダ・カズチカ(27)の挑戦を退け初防衛に成功した。棚橋は東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞MVPの底力を見せつけると同時に、ドームでのメーン連勝記録も「5」に伸ばした。2015年もプロレス界の主役を張る棚橋を支えていたのは夫人(38=名前非公表)の超スパルタ式「内助の功」。棚橋家の内情と、そこに秘められた深い理由とは――。

 年間最大興行のメーンで迎えた、昨夏のG1覇者・オカダとの頂上決戦。棚橋はフェンスオーバーの場外ハイフライフローを放つなど、執念のファイトを展開した。

 25分過ぎにはレインメーカーを浴びてしまったが、驚異の精神力で3カウントは許さない。エプロンからロープ越しのドラゴンスクリューを決めると、足がロープにかかったままの状態のオカダに、強引にハイフライフローを敢行。

 さらにグラウンドからのドラゴンスクリューを挟むと、最後はハイフライ弾2連発で死闘に終止符を打った。

 試合後は恒例の「愛してま~す!」で大団円。1・4ドームのメーンを棚橋が締めたのは、今年で5年連続となる。新日プロのみならず、プロレス界のエースとして君臨し続けている証しだ。常にファンの期待に応え続ける棚橋を支えているものは何なのか? 棚橋は「やっぱり家族の支えですね」と即答した。

 実は夫人による棚橋家の「内助の功」は、超スパルタ式だ。2児の父でもある棚橋は、激闘が続くリングを下りても、家事をサボることは一切許されない。「(ヒザの)靱帯が切れてる時も、犬の散歩に行かされましたからね。IWGP王者が(愛犬の)マルチーズに引きずられてましたよ…」(棚橋)

 昨年12月に3年ぶりにプロレス大賞MVP(3度目)に返り咲いた時も、夫人の態度はあまりに素っ気なかった。「『またアンタなの? 他にいないの? 該当者なしでいいんじゃないの?』と。『良かったね』のひと言もなかった」(棚橋)。厳し過ぎて泣けてくる。

 一見、何ともトホホな話に聞こえるが、実はこのスパルタ式こそが棚橋にとって最良のサポートになっている。2003年に結婚した夫人(07年10月に結婚を公表)は中学校の同級生で初恋の人だ。誰よりも棚橋の性格を知り尽くしている。

 棚橋は「『アンタはどうせ外で褒められるから、家では一切褒めない。調子に乗るから』と言われてますから。僕も元来調子に乗りやすい性格ですしね、ハハッ。本当にうまくバランスを取ってくれてます」と心から感謝しているという。確かに棚橋が調子に乗り過ぎた時は危険だ…。

 ともあれ棚橋がけん引してきたことで新日プロは上昇気流に乗り、この日の観衆も満員の3万6000人まで回復した。それでも棚橋は「想像以上の手応えですけど、もっとスターになりますよ。力道山先生が始めたプロレスですけど、アントニオ猪木、ジャイアント馬場、そういうところを超えたいですね」とキッパリ。飽くなき野心を胸に、これからもプロレスを背負い続ける覚悟だ。