
「PRIDE」「戦極」「UFC」などで活躍した総合格闘家の中村和裕(35)が21日、DEEP・ディファ有明大会で現役を引退した。
現ミドル級王者の中村は中西良行(29)の挑戦を受ける“防衛戦兼引退試合”を敢行。中西はライトヘビー級の現王者で、佐伯繁代表が「国内選手では同階級で最強」と分析する難敵中の難敵だ。中村はボディーへのパンチやハイキックの打撃に活路を見いだそうとするが、タックルでテークダウンを許すとマウントからエルボーを食らう苦しい展開。最終ラウンドまで粘ったものの、判定「0―5」で完敗した。
右目下を流血した痛々しい姿でマイクを握った中村は、さゆり夫人ら家族を呼び込み「支えてくれたお礼を言いたい。不安定だったけど、今からは多分安定するから」と感謝。ファンから喝采を浴びながら、リングを後にした。
柔道王・吉田秀彦の弟子として2003年3月にデビューしてから11年半。引退の心境は「『悔しい』と『やりきった』が交互にきている」と語った。現在、早稲田大学大学院に通学しており“第2の人生”は「ある大学で4月から助教として働きます。昔で言う講師。担当はスポーツマネジメントですね。今から修士論文を書かないといけないんです」とはにかみながら答えた。将来的には大学教授を目指す。
日本格闘界の今後については「統一団体は急務。米国のように、コミッショナーを文科省の管轄に置くとか。今ならお金を持っていれば誰でも大会ができる。それだと、ただ『やってます』ってだけになってしまう」と警鐘を鳴らしていた。