WRESTLE―1チャンピオンシップ王者の武藤敬司(51)が18日、王者での越年を誓った。22日の後楽園ホール大会で真田聖也(26)との初防衛戦を迎える武藤は、決戦前にしては珍しく気分が高揚し、絶対的な自信をのぞかせた。その理由は年末に心待ちにする多数の“イベント”が控えているからだ。

 この日、都内のW―1事務所を訪れた武藤は上機嫌だった。年の瀬ということもあり社長業に忙殺されながらも、22日の真田戦については「これが終わればいろんなことから解放されっからな。気負ってる部分もないし、あとはいいコンディションで迎えられれば、いい結果がついてくるんじゃねえか」と前向きな言葉が飛び出した。

 満身創痍の武藤は普段から後ろ向きなコメントが多い選手として知られており、最近では異例の発言となったが、これには理由があった。例年なら年明け2日から始動し、1月4日には新日本プロレスの東京ドーム大会に出場した(2014年は化身グレート・ムタが出場)。だが今回は1・4ドームの出場がないため22日の防衛戦が終われば完全オフ。武藤が「何十年かぶりだよな」と言うように、年末年始は重圧のない時を過ごせるという。

 しかも武藤は決戦翌日の23日に故郷の山梨・富士吉田市に帰省し、52歳の誕生日を迎える。現地でのイベントで同席する同郷のプロ野球・埼玉西武ライオンズ田辺徳雄監督(48)との再会を楽しみにしているほか、世界遺産に登録され、パワースポットとしても知られる富士山から力をもらう予定という。

「今年はデビュー30周年をいい形で過ごせた。来年も運が持続できるようにしなきゃいけねえから、やっぱ富士山だよな。俺にとって母なる大地だから」。普段でも神奈川県内にある自宅3階から雄大な富士山を眺めているように、武藤にとって特別な“存在”なのだ。

 気分よくオフを過ごすためにも防衛に成功しないといけない。「52歳をチャンピオンで迎えねえとな。ベルトを持って年越しするよ」。決意を新たにした王者が、節目の年をハッピーエンドで締めくくる。