アントニオ猪木氏 次世代の党を離党

2014年12月17日 17時00分

次世代の党を離党した猪木氏

 参院議員のアントニオ猪木氏(71)が次世代の党を離党していたことが16日、本紙の取材で明らかになった。次世代の党は衆院選で公示前の20議席から2議席と議席を大きく減らす大惨敗。北朝鮮問題など独自の外交に力を入れる猪木氏とは当初から方向性のズレが指摘されており、猪木氏は「離党届を出したことは事実」と認めた。昨年の参院選で旧日本維新の会を躍進に導いた猪木氏はどこへ向かうのか。

 猪木氏の離党は衆院選後、永田町周辺でささやかれていた。この日、猪木氏は本紙の直撃に「離党届を出したことは事実」と明言。衆院選で議席を大きく減らし、幹部が相次いで落選して壊滅状態の次世代の党にとっては大きな打撃となる。

 衆院選では知名度を買われ、全国を応援に回った。親交があれば次世代の党にこだわらないのが猪木流。維新の党の松浪健太氏(43=大阪10区)や石関貴史氏(42=群馬2区)を全面的にサポートするなど党派を超えて活動した。ただ、その中で猪木氏は次世代の党への有権者の期待を厳しく受け止めていた。「街を歩いていても次世代の党なんて知らない人がほとんど」。選挙の結果についても「予想通りかな」と驚きを見せず、淡々と振り返った。

 もともと、猪木氏にとって党への依存はほとんどなかった。昨年7月の参院選では逆風にさらされていた旧日本維新の会から立候補したものの、選挙活動では「維新」の2文字を全く使わない異例の選挙戦を展開。それでも抜群の人気で比例トップ(全体では8番目)となる35万6605票を獲得し、維新の当選者数を大きく押し上げる原動力となった。政策や思想の相違は当初から指摘されており、特に北朝鮮外交をめぐっては水と油だった。昨年11月、国会会期中に平譲を訪問した猪木氏は参院から登院停止30日の処分を受けた。一方、維新からはより重い党員資格と党副幹事長職の50日間停止を言い渡された。

 維新が石原慎太郎氏(82)の次世代の党と橋下徹大阪市長(45)の維新の党に分裂すると、その流れは一段と強まった。次世代の党は元航空幕僚長の田母神俊雄氏(66)が副代表を務めるなど右傾化が加速。猪木氏は存在が宙に浮く格好となった。次世代の党は大衆受けのいい猪木氏にあやかろうと衆院選のポスターに起用。しかし、猪木陣営にとっては都合のいい“急場しのぎ”にしか映らず足並みを揃えることが難しくなって、猪木氏は早くから離党を決意していたとみられる。

 猪木氏の今後はどうなるのか。プロレスラーとして一時代を築いた猪木氏は国会内にもファンが多い。無所属となり、同志が集まれば新党を立ち上げる可能性も十分ある。また、否定できないのが与党自民党へのまさかの合流。昨年2月に行われた猪木氏の古希を祝う会では森喜朗元首相(77)が発起人に名を連ねた。参院選の際には維新より先に自民党と接触していたとの情報もある。

 森元首相は2020年東京五輪組織委員会の会長を務めており、来秋設立予定のスポーツ庁と連携を密にする。猪木氏が与党に加われば要職就任も浮上するが…。いずれにせよ、次世代の党からの離党で猪木氏が議員としてさらに自由な活動ができるようになることは間違いない。