今年で41回目を迎えた東京スポーツ新聞社制定「2014年度プロレス大賞」選考委員会が8日、東京・江東区の東京スポーツ新聞社・会議室で行われ、最優秀選手賞(MVP)は棚橋弘至(38=新日本プロレス)が3年ぶり3度目の受賞を果たした。棚橋は同賞受賞回数で歴代4位タイに浮上した。授賞式は来年1月19日に東京都内のホテルで行われる。

 この日の選考会で最優秀選手賞の候補には棚橋、オカダ、中邑、柴田勝頼(35)の4人が名前を連ねた。いずれも新日本プロレスの中心にいた面々で、同団体がいかに2014年のプロレス界を独走したかを象徴しているが、中でも棚橋は1回目で21票中18票という圧倒的支持を集め文句なしのMVPに。「今の新日本で中邑が“たぎれる”のも、オカダがカネの雨を降らせられるのも、真ん中に棚橋がビシッといるからこそ」「ファンサービス面でも地道な努力を欠かさない」とリング内外での圧倒的存在感が再評価された。

 今年は1月4日東京ドーム大会で中邑とのIWGPインターコンチネンタル(IC)王座戦が、ファン投票によりメーンイベントに選ばれ、この大一番を制してIC王座を奪取。4月両国大会で中邑にベルトを明け渡したが、10月両国大会ではAJスタイルズ(36)を撃破し、IWGPヘビー級王座単独最多となる7度目の戴冠を果たした。8月のDDT両国大会参戦、9月は柴田との抗争など、年間を通じて高いレベルの試合を連発し、業界を盛り上げた。

 11年以来3年ぶりとなるMVPに返り咲いた棚橋は「非常にうれしいですね。状況的に突出した選手がいなかったのが今年だと思う。常に全力を出して良かったなと。それがIWGPにもつながったし」と喜びを爆発させた。

 41回目を数えるプロレス大賞の歴史においても3度目のMVPは偉業と言っていい。6度受賞のアントニオ猪木、4度受賞の天龍源一郎と武藤敬司に次ぎ、故ジャンボ鶴田さんに並ぶ4位タイの記録となる。

 そうそうたるメンバーに名を連ねた棚橋は「あと上に3人しか、いないじゃないですか! これはもう身が引き締まる思いですよ。IWGPは全部の記録を塗り替えたので、次はプロレス界の記録を塗り替えたい」と豪語した。

 昨年までは同じく新日プロのオカダが2年連続でMVPを受賞した。だがこれに待ったをかけたのはやはり棚橋だった。近年の新日プロをけん引してきた大黒柱が、再び“覇権”を奪回した格好だ。

 文字通り業界の頂点を争うデッドヒートは、そのまま団体の世代闘争に直結する。来年1月4日東京ドーム大会で控えるG1覇者・オカダとのIWGP王座初防衛戦は、現マット界の主役を決めるこの上ない舞台となった。

「風向き変わりましたね一気に。中心が新日本であり棚橋。世界は俺を中心に回っている。なぜなら…俺が太陽だからですよ、ハハッ」

 カネの雨がやみ、再び昇った太陽はプロレス史にその名を刻み続ける。