芸術品だ!ビル・ロビンソンの低空人間風車

2014年11月09日 16時00分

初期の人間風車は相手がマットに叩きつけられる寸前まで、クラッチを緩めない危険技だった

【お宝写真館】切れ味抜群の人間風車(ダブルアームスープレックス)で対戦相手を叩きつけようとしているのは若き日のビル・ロビンソン。1968年12月14日、国際プロレスの東京・大田区体育館大会での一枚だ。ロビンソンに投げられているはだしの選手はザ・ロックの祖父で“元祖サモアの怪人”ピーター・メイビア(82年に死去)だ。

 

 この日は「第1回IWAワールド・シリーズ」の真っ最中。英国代表の優勝候補・ロビンソンは11月30日、蔵前国技館における公式戦で南太平洋代表のメイビアと対戦するも、そのナチュラルパワーに大苦戦。かみつき反則で流血し激高した末に、コーナーに詰めて首絞め、パンチのラッシュで反則負け。Vに黄信号がともった。

 

 怒り心頭のロビンソンは自身が保持する欧州ヘビー級王座をかけての再戦を要求。シリーズ中に組まれた異色の防衛戦(61分3本勝負)で、ロビンソンは1本目を丸め込みのエビ固めで先取。2本目はメイビアがラフ殺法で息を吹き返し、目潰しからエルボー弾でタイに。そして迎えた3本目、ワンハンド式背骨折りでメイビアの動きをピタリと止めると、ガッチリと両腕のクラッチを絞り、人間風車を一閃。遺恨決着と同時に同王座V27に成功した。

 

 後にドリー・ファンク・ジュニアらが多用して一般的となった人間風車のスタイルは、同様のクラッチから一旦、高く相手を持ち上げつつ落とす形式。しかし来日初期のロビンソンは、低い体勢から短い弧のブリッジを描いて、マットに叩きつけるギリギリまでクラッチを離さない危険なタイプ。同じ人間風車でもかなり技術体系は異なっている。

 

 プロレスラーとしてはこのシリーズが初来日となるメイビアだが、2年前の66年には映画007シリーズの第5作「007は二度死ぬ」のロケで来日。劇中、大里化学工業本社(外観はホテル・ニューオータニ)の社長室でジェームズ・ボンドとバトルを繰り広げている怪人がメイビアだ。