【リレーエッセー:格闘技女子会】Vol.79:里村明衣子(仙女)

 今年7月、4年ぶりに練習生が入門してきました。彼女の名前は宮城倫子(みやぎ・みちこ=21)。宮城という姓ですが、山口県出身です。福岡の九州産業大学の「学生プロレス」に女子で初めて所属し、昨年卒業してから仙女に入門してきました。

 11月24日の博多スターレーン大会でデビューを目指し、毎日稽古に励んでいます。仙女では珍しく身長は167センチ、体格も大きめの選手です。一人のレスラーを一人前にするのに本当に労力がかかります。特に10代の女子を寮住まいさせ、毎日稽古しながらプロレスラーである前に「人」を育てる。この人をつくり上げる日々の精進が大事です。若い選手こそ宝なのです。

 みなさん、女子プロレス、特に仙女は「厳しい」というイメージがあると思います。実際、練習は本当に厳しいです(ゆるいとイメージされるよりはいいと思いますが…)。なぜならプロですから。お客さんには、お金を払って見に来ていただくのですから。ただ、練習や礼儀が厳しくて辞める選手って、実はほとんどいないのです。女の世界特有の感情で、90%が人間関係や自身の心境変化などで脱落するのです。

 ただ、今の練習生、宮城は神経がずぶといです。先日の徳島巡業では度重なるミスを繰り返し、当然先輩たちに叱られていました。すると仙台に戻ってきてから、昼から夜までパタリと連絡が途切れたのです。何度連絡しても電話がつながらない。「逃げたかもしれない」。そう焦った私は夜中、仙台幸子に寮に向かわせました。すると、本人は普通に寮で昼間から約10時間も爆睡していたのです。

 そう、心配していた私がバカを見ました! まあひと安心でしたが、この選手はただものではないはず! 本人も久しぶりの仙女の新人デビューという周囲の期待やプレッシャーを、力に変えているのがわかります。ぜひ、11・24博多でのデビューを楽しみにしていてください!