外国人同士の戦いがよみがえらせた「タッグ戦の神髄」

2014年11月09日 18時00分

テリー(下)の右腕にフォークを突き刺すブッチャー(右)とシーク

 マット界で暮れの風物詩といえばタッグリーグ戦に尽きる。今年も全日本プロレス「世界最強タッグ決定リーグ戦」が16日に、新日本プロレス「WORLD TAG LEAGUE」が22日にそれぞれ東京・後楽園ホールで開幕する。暮れの祭典に先駆けて、年末を彩った各時代のタッグリーグ戦名勝負5試合をお届けします。

【タッグリーグ名勝負5選(1):伝説度No.1】

▽全日本・世界オープンタッグ選手権公式戦(1977年12月15日、蔵前国技館)ザ・ファンクス―アブドーラ・ザ・ブッチャー、ザ・シーク組戦

 タッグリーグの名勝負といえば、この試合に尽きる。名勝負というよりブッチャーがテリーの腕をフォークで突き刺す衝撃的なシーンがあまりに有名だ。そのインパクトは絶大で、この一戦を機にプロレスファンになったという現役レスラーも多い。

 オープンタッグ選手権は最強タッグの前身で、あまりの反響の大きさに翌年から暮れの祭典に定着した。セミではジャイアント馬場、ジャンボ鶴田組が大木金太郎、キム・ドク組を退け、勝ち点13で日程を終了。ともに勝ち点12で勝ったチームが優勝という劇的な状況下で、ファンクス対黒い呪術師&アラビアの怪人コンビの一戦のゴングが鳴らされた。

 まず奇襲を仕掛けたファンクスだが、その後は反則攻撃で歯車を狂わされる。そして10分過ぎ、ブッチャーがテリーの右腕にフォークを突き刺してひっかき回す。鮮血が飛び散り、場内には悲鳴が響き渡った。さらには手の甲にもブスリ。意識が飛びながらもパンチを振り回すテリー。たまりかねたドリーが凶器を奪って反撃するが、もはや目に“狂気”すら帯びたブッチャーの攻撃は止まらない。

 最後は暴走の止まらない怪人がジョー樋口レフェリーにまで一撃を食らわせ14分40秒、ファンクスが反則勝ちで優勝を決めた。

 不完全燃焼の結末ではあったが、内容的には超満員札止め1万2000人の観衆、さらにはお茶の間のファンをも納得させ、くぎ付けにする試合だった。当時の本紙には「これぞタッグ戦の神髄」との見出しが躍っている。ホンモノの悪役が乱暴狼藉を働き、耐えに耐え抜いたヒーローが最後に大爆発する。力道山時代以来のプロレスの原点的ファイトスタイルを、不思議なことに外国人同士の戦いがよみがえらせたのだ。

 フォークを刺すブッチャー、耐えながら反撃するテリー…20世紀を代表するプロレスの名シーンといってもいい。なおブッチャーとシークは、怪人の火炎放火で2年後アッサリ仲間割れした。