新日本プロレス13日の両国国技館大会で行われたIWGPヘビー級選手権は、棚橋弘至(37)がAJスタイルズ(36)を撃破し、第61代王者に輝いた。電撃登場した元WWEのヨシタツ(37)の助太刀を受けて史上最多7度目の戴冠を果たした棚橋は、来年1月4日東京ドーム大会のメーンでG1覇者のオカダ・カズチカ(26)の挑戦を受ける。近年の新日プロの中心を争っていた2人の頂上決戦が年間最大興行で再び実現する。


 両雄の抗争がスタートしたのはオカダが凱旋帰国した2012年1月だ。実はこの時を境に、新日プロは大きな上昇カーブを描き始めた。12年1月期の同社の売り上げ決算は約11億円だった。それが13年7月期には約16億円、14年7月期には約22億6000万円にまで伸び、約2年半で2倍以上になった。(12年7月は半期分のため参考外)。


 12年に新日プロを傘下に収めた際にブシロードが肩代わりした借金は約5億5000万円とみられるが、新日プロの手塚要社長(41)は「完済のメドは立ちました」と明かす。


 もちろんブシロードのサポートも急成長の大きな要因の一つには違いないが、手塚社長は「親会社が何をしようがリングの上が面白くないとどうにもならない。06年ごろから棚橋選手を中心に作られてきたベースがあってのこと」と分析する。そこに彗星のごとく現れたオカダが加わった。2人の抗争こそが、新日プロに22億円という“カネの雨”をもたらした真の黄金カードと言えるのだ。


 棚橋自身も「棚橋―オカダの抗争が、新日本を世界のトップに持っていったという自負はありますね」と胸を張る。文字通りの頂上決戦だからこそ負けられない思いも強く、棚橋は「オカダ、お前にカネの雨を降らせることができても、太陽にはなれない。俺がいるからだ!」と宣戦布告した。


 さらに棚橋はリング上で「新日本プロレスを世界一の会社にしてみせます」と宣言した。それはくしくも、12年1月にブシロードの木谷高明社長がオーナーに就任した際に発したのと全く同じ言葉。来年のドーム決戦で、棚橋が新たな新日プロ黄金期到来を証明する。