伝説の対抗戦がよみがえる。LLPW―Xのミスター女子プロレス・神取忍(49)が3日、カリスマ・長与千種(49)に全面戦争を呼び掛けた。神取は生誕50周年記念大会(11日、両国国技館)で長年のライバル、長与と激突。単なるメモリアルに終わらせるつもりはなく、レジェンド最終決戦への発火点にするという。

 決戦を8日後に控えて神取の表情が引き締まってきた。「もう後に引けない。これを女子プロレスの新たな起爆剤にしたい」。もちろん視線の先にあるのは、終生のライバル・長与だ。

 長与は3月に一夜限りの復活を果たした後、プロデューサーとして「That’s 女子プロレス」の大会を定期開催している。今回の復帰は神取の熱意に根負けした格好だが、神取は「長与軍とLLPW―Xの全面対抗戦とか面白いんじゃないか? 長与ならついてくる選手は多いだろうし、女子プロに元気を取り戻せるかもしれない」と本格復帰を熱望する。

 神取の胸にあるのは1999年3月、代々木競技場第二体育館で行われた伝説の全日本女子対LLPWの対抗戦だ。史上初めて観客席を「2分割」して開催されたこの一戦は、94年の東京ドーム大会とはまた別の異様な熱気を生み、再び低迷しかけた女子プロ界に息を吹き込んだ。この時メーンに立った神取は「長与とならあの熱気を取り戻せるんじゃないか」と確信している。

 長与は新団体「マーベラス」の旗揚げ準備も進めており、新人育成にも意欲を見せている。今回の復帰戦で闘志に火が付けば、神取とのライバル心も再燃するだろう。ひと声掛ければ瞬時にかつての教え子たちも集まるのは間違いなく、長与軍の結成に問題はない。神取軍との全面対抗戦が実現すれば、女子プロ界にとって最高のカンフル剤となる。

 今回は神取、ダンプ松本、藤原喜明組VS長与、堀田祐美子、天龍源一郎組の6人タッグ戦となるが、神取は先を見据える。「生涯現役を貫く。そのためにもライバルはいたほうがいい」。生誕50周年大会から、新たな戦いに踏み出す決意だ。