新日本プロレス21日の神戸ワールド記念ホール大会で棚橋弘至(37)が柴田勝頼(34)との遺恨マッチを制した。10年戦争に終止符を打った棚橋は、自身の代名詞だったIWGPヘビー級王座(現王者AJスタイルズ)再挑戦をついに宣言した。

 ここ10年の新日マットをけん引してきた棚橋にとって、G1公式戦(7月26日、秋田)で“出戻り”の柴田に喫した敗戦は許しがたい屈辱。その借りを返すべく、棚橋は序盤から鬼の形相で柴田にエルボーを打ち込んだ。15分過ぎ、棚橋はドラゴンスクリューで攻勢に出ると、最後は渾身のハイフライフロー2連発で3カウントを奪ってみせた。

 だが、真のクライマックスは試合後のリングだった。これまで舌戦を繰り広げてきた柴田と相対した棚橋は、いくつかの言葉を交わすと涙を流しながら握手。2005年1月に柴田が新日プロを退団してから続いていた遺恨に、ついに和解の瞬間が訪れたのだ。

 棚橋は「柴田が『新日本を守ってくれてありがとう』って…。どの口が言ってんのか知らないけど、そりゃズルいよ」とやり取りを明かした。自身は柴田に「お帰りなさい」と告げたという。

 恩讐を乗り越えた先に見据えるのは、IWGPのベルトだ。同王座から無期限撤退中だが、8月の西武ドーム大会で現王者・AJスタイルズに勝利し再びベルト戦線に急浮上。この日までは柴田との因縁を優先していたが、これで胸を張って王座戦線へ打って出ることができるというわけだ。

 23日の岡山大会ではAJとのタッグ戦(棚橋、内藤哲也vsAJ、ドク・ギャローズ)を控えており「気持ち切り替えて、さらなる高みを目指したい。扉は開いてるんでね。IWGPに近付きます。無期限撤退? なかったことにしてくれと許しを請います。ハハッ」と本紙に明言。AJに再び勝利して挑戦権を決定づけるつもりだ。

 オカダ・カズチカ(26)に敗れ、IWGP戦線に別れを告げた昨年10月の両国国技館大会からちょうど1年。10月13日の両国大会が、その封印を解く舞台となる。