全日本プロレスの潮﨑豪(32)が故郷・熊本への凱旋を誓った。全日最強を決める「王道トーナメント」が15日、東京・後楽園ホールで開幕。潮﨑は1回戦で3冠ヘビー級王者のジョー・ドーリング(32)を下して、最高のスタートを切った。

 怪物的なパワーを誇るドーリングに序盤から苦戦を強いられ、場外戦では意識も飛んだ。それでも決定打だけは許さず17分過ぎ、ゴーフラッシャーから変型フェースロックで絞め上げる。最後は至近距離からの豪腕ラリアートで、王者に勝利。「チャンピオンに勝ったんだ。文句ねえだろ!」と潮﨑は絶叫した。

 負けられない理由があった。23日には「デビュー10周年記念大会」が故郷の熊本流通情報会館で行われる。潮﨑は自ら熊本に足を運んで協賛を募り、地元企業の協力を取り付けた。その一つが熊本市内の「焼肉友宝(ゆうほう)」。2003年4月にノアに入団する前、4年間アルバイトをしていた店だ。プロレスラーを夢見ていた潮﨑は時給650円で働き、1回200円の公営施設で体を鍛えていた。

 休憩時間には店内にあった新聞で鉄人・小橋建太(47)の記事を読んでレスラーにあこがれの気持ちを強め、熊本大会を終えた新日本、全日本、ノアの巡業バスが通るたび「いつかは乗ってやる」と誓いを立てていたという。

 潮﨑は原点に戻って故郷で雄姿を見せるため「トーナメントに残っている状態で地元のリングに立ちたい」と断言。それには2回戦(20日、博多)、準決勝戦(22日、長崎)を勝ち上がり、決勝戦(28日、大阪・ボディメーカーコロシアム第2競技場)進出を決める必要がある。

「このまま優勝する!」と叫んだ潮﨑。故郷で栄冠に向かって弾みをつけるべく、過酷なトーナメントを突き進む。