全日本プロレスの秋の祭典「王道トーナメント」は今日15日、東京・後楽園ホールで開幕する。連覇がかかる元横綱曙は、無差別級で行われるトーナメント突破の秘策として、初となる丸め込み技の習得に着手していたことを告白した。

 曙は1回戦(18日、愛知・豊橋市総合体育館サブアリーナ)で巨漢の吉江豊と対戦する。決戦に向けた策を聞かれた曙は「トーナメントが始まるまで、技のことを考えていたんですよ。ふとした瞬間にひらめいたんだけど、ボクにはスモールパッケージホールド(首固め)とかの丸め込み技がないなって。ずっとイメージを高めてきたから、このトーナメントで出せるかもしれない」と明かした。

 首固めとは言うまでもなく、相手の首と片足を取り、さらに足で相手の足をかけて転がすように丸め込む技。寝ている体勢からでも決めることができるため、劣勢からでも一発逆転が可能な技として知られている。2006年9月には、ノアの丸藤正道がこの技で秋山準から大金星を奪い、ジュニア勢では初となるGHCヘビー級ベルトを巻いたこともあった。

 その技を、あえて曙が投入するのはなぜか? その理由は、8・30愛知県体育館大会で3冠ヘビー級王者のジョー・ドーリングに敗れたことだ。スーパーヘビー級のドーリングに真っ向勝負を挑むも、4か月のブランクがあった曙は試合中にスタミナが尽きた。

 しかも、最後まで必殺のヨコヅナインパクト(パイルドライバー)を出すことができなかった。「ヨコヅナインパクトが読まれている。もうこの技だけには頼れない」と曙が感じたのも当然だ。

 しかも、今回は1敗も許されないトーナメント。まだスタミナ面に不安を残すため、時には丸め込み技で貪欲に勝利を重ねていくという。「『技の曙デパート』が開店しますよ」と自信をのぞかせた横綱が、連覇に向けて視界良好だ。