亡き友に届け!! 飯伏飛んで舞って完全復活

2014年08月18日 16時00分

近藤(右)に華麗なケプラーダを決める飯伏

 17日のDDT両国国技館大会で、ゴールデンスター・飯伏幸太(32)が近藤修司(36)との復帰戦を勝利で飾った。新日プロ7月4日後楽園大会で脳振とうを発症し欠場していた飯伏にとって、この日のリングはかつてない恐怖心との闘いでもあったが、見事に克服。完全復活の裏には、亡き親友への思いがあった。

 

 若手時代からの“師匠”だった近藤との復帰戦。序盤にコーナートップからのケブラーダを放ち制空権を握った飯伏は、驚異的な近藤のパワーにも対抗。ラリアート2連発で攻勢に出ると、最後はフェニックススプラッシュで圧殺した。

 

「念願かなっての復帰戦で勝てて本当にうれしい」と笑顔を見せた飯伏だったが、試合前はかつてない恐怖心と闘っていた。

 

 脳振とうを起こした7月の試合について、飯伏は全く覚えていない。だが後日映像を見ると、無謀な場外への飛び技を仕掛けている自分がいて戦慄を覚えた。

 

「記憶がないまま動いてたわけだから、死んでいたとしてもおかしくないというか。今動くのも、数時間したら忘れてるんじゃないかとか、考えると不安で眠れなかった」

 

 それでもリングに立ち続ける覚悟を決めた裏には、ある出来事があった。実は飯伏は、アクシデントが起きた直前の6月末に、親友の訃報を聞いた。鹿児島県姶良市立重富中学校の同級生だった吉永尚吾さんだ。レスラー人生の原点の「プロレスごっこ」で一番遊んだ仲で、今も使用する必殺技「フェニックスプレックス」を地球上で初めて受けた人間でもあった。修学旅行の時にはパワーボムの力加減を間違え、失神させてしまったこともある。よく聞くとひどい話だが、それは飯伏独特の、互いに気を許せる間柄だからこそだった。

 

 吉永さんはプロレスが好きで、地元での試合には必ず応援に来てくれていたという。飯伏は「最後に会ったのは4月ですかね。糖尿病がひどく悪かったみたいで…」とショックを受けたが、試合が入っていたため葬儀には行けず、ようやく帰省できたのは8月6日のことだった。

 

「線香をあげに行ったら、いっぱい俺のグッズがあるんですよ。葬式でも俺のタオルを最後に掛けて送り出してあげたらしくて。いきなり(の訃報で)でビビッたけど、友達からは『お前にはもうそれしかないから』って言われて、プロレスやるしかないって思いました」。わずか31年で生涯を終えた吉永さんに、天国でも自分の試合を見てもらおうと決心した瞬間だった。

 

 誰もが待ち望んだ飯伏の完全復活。亡き親友、そしてファンのため、飯伏は飛び続ける。

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