これが王道マット改革――。全日本プロレスの秋山準社長(44)が本紙の単独インタビューに応じ、旗揚げ記念ツアーとなる10月シリーズで故ジャイアント馬場さん(享年61)時代からの代名詞だった「ジャイアント・シリーズ」の名称を復活させることを明かした。2003年1月を最後に“封印”されていたが、秋山改革第1弾として実現する。秋山社長は経営立て直しにも自信を示し、“初めの一歩”は順調だ。
――社長に就任してから1か月半が経過した
秋山社長:自分の時間が激減した。人に会ったり取材を受けたりで、何もなかったのは8月9日だけ。逆に巡業に出ている方がいつもの生活を送れるよ(笑い)。
――周囲の反応は
秋山社長:全日本のブランド力はすごい。責任重大ですよ。「ジャイアント馬場」という名前も、いままでは排除しようとしてきたけど、消す気はない。一度、全日本を出て行った自分に馬場さんは天国で怒っているかもしれないが「もう一回、協力してくださいよ」と。親のスネじゃないが、馬場さんのスネをかじらせてもらいます。
――馬場さんの名はどう生かしていくのか
秋山社長:商談でも馬場さんの名前を使うとスムーズにいくしね。それに10月は「ジャイアント・シリーズ」をやろうと思っている。10月は全日本の旗揚げ記念の試合もあるし、(10月25日に)馬場さんの地元、三条(新潟)の大会もある。
――今年限りなのか
秋山社長:毎年、この時期は、このシリーズ名にする。慣れ親しんだ名前をなぜ使わないのか。それで見たいという人がいるかもしれないし、生かせるものはフルに生かす。全日本に「ジャイアント・シリーズ」「チャンピオン・カーニバル」「世界最強タッグ」の3つは必要だと思う。
――スポンサー関連はどうか
秋山社長:一度全部離れてしまったので、もう一度集めないと。協力していただける会社も何社か出てきていて、9月シリーズからのリングマットにはスポンサー名を入れられる。(お好み焼きの)「ぼてぢゅう」さんとは契約がまとまった。
――経営状態も不安視されてきたが
秋山社長:(就任前は)バリバリの赤字だったと思う。かなりのマイナスから始まっていて厳しいけど、(マイナス幅は)少なくなっているし、あと少し。プラスになる目安? 次の月からでもしたい。
――観客動員を増やすことも課題だ
秋山社長:まず後楽園ホールを埋めないとプラスにならないし、あそこからいい風が吹く。「またかよ」といった(分裂劇のような)ことはもうやってはいけないし、安心して楽しんでもらえる環境を整えつつある。必ずお客さんは戻ってきてくれると思う。
――自分のカラーはどう出していくのか
秋山社長:信用されて、「社長」と言われた時が俺のカラーが出た時だと思う。笑顔がある、明るい団体にしていきたい。
☆ジャイアント・シリーズ=全日本プロレスで毎年1月と10月に使用されていたシリーズ名称。武藤敬司体制になった2003年1月シリーズを最後に変更され、その後の1月シリーズは「シャイニング・シリーズ」などとなった。