新日本プロレス「G1クライマックス」(21日、札幌で開幕)に18日、大激震が走った。V候補の一人、飯伏幸太(32=新日本&DDT)の欠場が決定。飯伏は開戦前に無念の終戦となった。

 飯伏は4日後楽園大会のKUSHIDA戦序盤にキックを側頭部に浴び、脳振とうを起こした。CT、MRIに異常は見られなかったものの、試合の記憶は完全に消失していた。

 スポーツ界では脳振とうを起こした場合、最低2週間の安静が必要とされる。脳が回復する前に再度強い衝撃を与えた場合に「セカンドインパクトシンドローム」を発症する危険性があり、死に至るケースもあるからだ。

 今回の飯伏の場合は時期的にかなり微妙な判断を迫られた。時間の経過とともに症状の良化は見られていたが、17日夜になった段階でも激しいトレーニングをした際に吐き気を伴っていたため、新日プロの医事委員会の協議によりドクターストップがかかった。

 委員会に名を連ねる国際医療福祉大学三田病院の朝本俊司医師は「ダメージが抜けきっておらず、開幕までの回復は無理と判断しました。まず本来のパフォーマンスは見込めない。運動能力や判断能力が低下した状態で試合をすれば大けがを負う危険性がある」と説明した。

 飯伏は出場予定だったDDT20日後楽園大会も欠場。同団体の両国国技館大会(8月17日)には出場する見込みだ。G1には代替選手として本間朋晃の出場が決まった。

 無念の欠場となった飯伏は「自分の中ではG1を目標にやってきたので残念です。今は一日も早く万全の状態に戻すことだけを考えたい」と落胆。とはいえ再び宙を舞うその日まで、今は羽根を休めるしかない。